2019年3月1日(金)
神山分校発
「育てる、つくる、食べる、伝える」カミノウメイト
食育係の樋口です。
今回は生活科3年生の生徒たちが作った“カミノウメイト”を紹介します。
昨年11月、神山分校では「創立70周年記念式典」が盛大に開催されました。
記念品作りは生徒が担当し、生活科の3年生が作ることになったのは、現在フードハブ・プロジェクトで販売している「カミヤマメイト」です。
カミヤマメイトは、昔ある農家さんが食べていたという小麦に米ぬかを混ぜたおやつをヒントに、小麦、米粉、米ぬか、米油などを混ぜて作られた素朴な風味のおやつです。今回分校生たちが作る「カミヤマメイト」は、分校で育てた“さつまいも”を使い、分校らしさを出すことにしました。
製造場所は、学校から車で5分ほどの場所にある下分加工場。地域の方々が集まり、お菓子やお餅などを製造している場所です。高校生たちは、生活改善グループのお母さん方とフードハブのメンバーに教わり、初めての加工品づくりに挑戦しました。
事前に、分校で採れたさつまいも4種類を使って かまパンの山田(野菜パン係)が試作し、よりおいしく、より“さつまいも”の特徴が出る2種類(安納芋、紫芋)を使うことにしました。紫芋味はホクホクした感じで芋感が前面に出ている仕上がり。安納芋味は甘みがあり黒ごま風味が効いている仕上がり。「安納芋の味を出したいから、ごまを控えめにしよう」と相談し、本番では試作時よりごまの量を減らしました(それでもごまは強かった)。
芋を炊いてペースト状にしたものを、他の材料と合わせ、成形します。
「なかなか平らにならず、思ったより力が必要だった」「割れやすいから力加減に注意した」などに加えて、大量に作り続けなければならない根気強さと集中力が求められる作業です。伸ばした生地を均等にカットし、穴をあけ、オーブンへ入れるまでの作業を分担して進めました。
作る前、カミヤマメイトを食べた時の生徒の反応は「そこそこ(味によって差がある)」でしたが、自分たちが作ったカミヤマメイトを食べた時は、うんとよい反応がかえってきました。
分校らしく「カミノウ(神農)メイト」と名付けました。
冷めたらパッケージに入れ、ラベルを貼って完成です。
手を加えることで「自分ごと」になっていく瞬間がわたしはとても好きです。既製品を選んで買うのも楽しいですが、自分で育てて作って食べると、人や地域とのつながりを実感します。言葉で「地産地食」がどういうものかを語るより、手を動かして、五感を働かせながら体感できるに越したことはありません。分校で生産している農産物や今回作った加工品へのかかわりを通して、これまでとは異なる見方や考え方が芽生えるきっかけになっていればうれしく思います。
「いろんな人が食べやすいように、もっと柔らかくしたい」「もっと作業を効率化できないのか」という生徒のご指摘はごもっとも!次にチャンスがあれば、生徒たちの声を反映させた加工品づくりができれば楽しいなぁと思っています。
1月23日に分校の武道場で行われた3年生の「課題研究発表会」では、生徒たちの1年間の取り組みの様子を見聞きすることができました。
生活科の生徒たちは、こんにゃくづくり、豆腐づくり、カミノウメイトづくりなど、今年度「育てる、つくる、食べる」にチャレンジしたことを、この発表で下級生に「伝える」ことができました。カミノウメイトという商品を通して記念式典に来られた来賓の方々や地域の方々に「伝える」こともできたのもとてもよかったことです。
来年度は下級生たちがどんな課題研究にチャレンジするのか、楽しみです。