パンを通じて何かを伝えたい。
地域との関係性から生まれる授業。

授業レポート食べる

かまパン製造責任者の笹川です。今回は、城西高校神山校で行われた第一回オープンスクールでの連携授業のお話をしたいと思います。

ことの始まりは理科担当(科学と人間生活)の松田先生が、かまパン好き(中でもフレンチトーストは高リピート率)で頻繁に買いに来てくれていたところから。「理科とパンで一緒に授業ができたらいいよね〜」と軽い気持ちで話をしていると、先生も興味を持ち始めいよいよ打ち合わせをすることに。

当初は、とりあえず授業でやってみよう!となり、どんな授業にしたいかと4月中旬から相談し6月下旬に実施となりました。このときはまだ、楽しみだな〜という気持ちでした。教頭先生の話があるまでは…。

教頭先生より「地域の企業と一緒に取り組んでいることを多くの方に見ていただきたい。7月13日のオープンスクールで授業ができないか」と相談を受けました。な、なんと嬉しいお言葉。と喜ぶのは一瞬で、実施するにはいくつかの課題がありました。まず、土曜日は営業日のためお店を休むことはできない。さらに授業内容をもっと掘り下げて時間配分を密に考えないと行けない。などなど、通常の授業ではなんとかなることが特別授業になるとそうはいかないことが多く、必然的に打ち合わせの回数も増えていきました。

そもそもオープンスクールてどんな場?
・一般の方々にも公開する日
・神山中学校の生徒は全員参加
・午後にはコンソーシアムが開かれる
今回は第一回目ということもあり、プレッシャーが!!
さらに今年度は5月下旬〜6月上旬に1年生がかま屋横の小麦の収穫をしており、今後の神山校の柱にもなる「耕作放棄地の小麦栽培」を校外の方々にお伝えするまたとない機会でもあり、普通教科(理科)の科学的な視点からパンを作るという教科横断的な学びの現場を見ていただける最高のタイミングでもありました。

2019年5月29日に実施した神山小麦の収穫の様子

課題は多いですが断る理由もなくここからはひたすら出来る方法を考える日が続きました。1年生の「科学と人間生活」の時間、「発酵」の分野で実際にパンづくりを通して「発酵」を体感しようという試み。それに生クリームからバターをつくり(状態変化)バターを塗って食べる、3時間の授業でバターとパンをつくる二本立てでいくことになりました。

今回のポイントは授業前の期間にありました。1年生の神山創造学という授業で地域で働く人に話を聞きに行くというのがありクラスの半分は私と顔を合わせていたことで気持ちの面でも準備ができていたこと。

「神山創造学」1年生のフィールドワーク “かまパンのパン職人を訪ねる”

松田先生のスピード感があり様々な学校側の事務を事前におさえていてくれたこと。最後の最後まで考えることでアイディアが形になったこと。色々なタイミングが重なり気づいたら良い流れが出来ていたため、授業前日はやるべきことは全てできたと感じるほどでした。

松田先生と生徒たち

当日、想定していたパターンで進めることができるほどよく周りを見れていた気がします。私が担当したのは<食べるパン>と<つくるパン>。3時間で捏ねて焼き上げることは可能ではありますが、あくまでもパンを作ることが目的ではなく、作ることでわかる化学反応を体感すること。言ってしまえばパンはおまけ。でもパンを伝えたい。モヤモヤしながら始まります。

<食べるパン>はパンのアルコール発酵で行われるエタノールが蒸発するのを確認するために途中まで生地を作成し焼き上げる所を生徒に実習してもらいました。<つくるパン>はパン製造で行われる世界共通の計算式ベイカーズパーセントを用いて材料の計算から捏ねる上げ、グルテンネットという粉と水が合わさると出来る膜を確認する実習をしました。

理解している班、計算を間違える班、携帯で調べる班、と様々な班があり見ていてとても楽しかったです。見本はあるけど正解はないという授業で基本的には生徒が進めるという内容でした。もっと生徒主体で進めても面白かったかもしれないですが、全てが初回ということやパンを知らない生徒たちが自分でも作れることがわかり食と科学のつながりに触れられたのではないかと感じています。パンを作る上で準備の大切さや技術力や知識など私なりにパンを通じて伝えられた気がします。

今回の経験で改めて感じたことは、人との関係性(つながり)が大事だと思いました。学校と地域の関係や先生と私が何度も顔を合わせたことでお互いが理解し合い一体感が生まれそこに中身が生まれる。形から入るのではなくやってみてわかること。答えを狙ってやるのではなく自由にやることで出来たこと(理解している班、計算を間違える班、携帯で調べる班など)。まさに神山ならではの経験でした。

パンを通じて何かを伝えてたいという私の考えが形になった一日でした。何かというのは相手しかわからないのでそれが今現在、おもいしろいとかなぜこうなるのか?みたいな印象に残ることもあれば、あとから思い出して感じることもあるのだろうと思います。具体的にはわからないです。授業にパンがあったということだけで十分だと感じています。

僕にとってパンとは文化でもあり、受け継がれいくもの。でもそれは暮らしの一部なのであってパンが中心ということではなく、パンが他との関係性の中にあること自体に意味があると思うんです。

この日誌を書いた人

笹川大輔

パン製造責任者
笹川大輔 (だいすけ)

パン製造責任者。東京都出身。2017年2月 妻子と神山に移住。18歳から東京のパン屋で修行し独立を考えている時にフードハブ・プロジェクトのことを知り参加を決意。食生活とトレーニング、休養が生活の基本だと考える。日々かまパンにて神山のパンを模索中。

その他の活動

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