「やってみたい!」から始める、米山分けプロジェクト

食育

みんなで手植え
みんなで手植え

「やってみたい!」から始めること。これは、2016年から始まった小学校との食育の授業で大切にしてきたことです。フードハブでは「(あなたは)どうしたいの?」という言葉を投げかけられることがあります。どちらにも共通するのは、「自分」を主語にして考えよう、ということです。言うは易し…実際に「自分」を主語にして考えたり動いたりすることは思った以上に難しい…。

2019年5月号のかま屋通信で「みんなでつくる全体会議」のことを紹介しましたが、その全体会議で大事にしているのも、主体的なかかわり、つまり「自分」を主語にして考え、動いていくということです。今回は「やりたい!」と手を挙げたフードハブの有志のメンバーで進めている「米山分けプロジェクト」の様子をお伝えします。

「米山分けプロジェクト」は、名前の通り収穫したお米をみんなで山分けすることになっています。米づくりをやってみたいメンバー10名が参画している他、農業チームのメンバーにアドバイザーとして同席してもらっています。まずはキックオフ・ミーティングを開催し、メンバーらで話し合って米の品種や農薬の使用、肥料の種類、栽培方針を決めました(オンラインで東京メンバーも2名参加)。

【栽培方針】

◎米の種類:日本晴(ニッポンバレ)・手植え
◎肥料(2種類)元肥:菜種油かす、他 追肥:若芽ぼかし(みんなでつくる)
◎その他:除草剤は使わない・病気が出ないような対策をしっかりとる・対処的防除はする(農薬は最小限に)

6月4日には肥料をまき、トラクターで田んぼを耕しました。

6月10日は田植え。ミーティングで決めた通り、みんなで手植え。パタンパタンと回転する定規を使って(割ときれいに)植えられました!これなら除草作業も楽チンかもしれない。

次のミッションは草抜きです。メンバーたち、どれだけ田んぼに足を運べるでしょうか。お米は山分けする予定ですが、米づくりにかかる費用は参加者の自己負担。プロジェクトに参加した時間を記録し、それをもとに金額負担やお米の量を決めていく予定です。東京、鳥取から来町していたお二人もご一緒できたこと、うれしかったです。植えたばかりなのに、早くも目線は秋へ…収穫祭でおいしいおむすび食べたいなー(わくわく)。

会社は、自分たちが「いい」と思えることや「やってみたい」と思ったことをやってみる(社会に問う)場。言葉で言うのは簡単ですが、実際には「そうは言っても…」なんて思ってしまうこともたくさん。いろんな葛藤や苦悩もありながら、今は自分自身の思いや願いが、フードハブのなかで循環し始めた感じがあります。意思を表明する場があり、受け入れられる場があり、「やってみたい」ことにチャレンジできる場があって仲間がいて。それが会社そのもの、自分自身、社会とつながってきていることの実感なのかなぁ(もごもご)。

「地域内循環」とはフードハブでもよく使っている言葉ですが、外の大きな仕組みや枠組みにばかり目を向けていると、近くの大切なことが見えなくなってくることもあります。「社内循環」は何より大事、それが「全体会議」を通して見えてきたわたしのこたえでした。向かう先には、こたえも正解もありません。人が違えば出す「こたえ」も違う。わたしだけではない、わたしたちの「こたえ」を「食」を通じて考えていきたいと思っています。

この日誌を書いた人

樋口明日香

NPO法人まちの食農教育
樋口明日香 (ひぐち あすか)

前フードハブ 食育係。徳島市出身。神奈川県で小学校教員として働いたあと2016年からフードハブに参画。2022年3月より現職。まちの小・中学校、高校、高専の食と農の取り組みにかかわりながら「みんなでつくる学校食」を模索中。 https://shokuno-edu.org/

その他の活動

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