畑からテーブルまでのつながりを豊かにする試みをはじめました。

つなぐ農園育てる

加地(料理人)と畑で。
加地(料理人)と畑で。

農園係の大東です。神山にきて2年が過ぎました。この春から大量生産の場を離れ、飲食店向けに少量多品目の栽培を始めています。お料理が楽しくなるような野菜に美味しい品種、ハーブやエディブルフラワー、そして神山の豊かな農産物や加工品も一緒にお届けできたら。畑からテーブルまで繋がりを深めていきたいと思っています。

あわせて在来の野菜の紫色のとうもろこし「もちきびとうもろこし」などを育て、そして色々な野菜の種を取り、その可能性や豊かさを共有できたら。神山の農業いろいろなやり方を学びあう機会や、農に関わるいろいろな人々の交流が賑やかになっていけばいいな。そんな、つながりを豊かにする試みです。少しづつにはなりますが、歩み始めました。

私自身の農業経験は8年目になります。これまで受発注から収穫出荷の仕事が中心で、栽培までするのは3シーズン目。やる気とは裏腹に、この春夏作の栽培は今まででいちばんの失敗となりました。暑い日が続いた4〜5月は雨が全然降らず、直播の根菜類が発芽しない、発芽不良で枯れる…苦戦しました。作業スケジュールがタイトになり、堆肥として畑に投入したしいたけの廃菌床を十分に分解させる時間が持てなかったことが大きく影響しているようで、根菜類が生育不良に虫食いがひどく、残念な結果となりました。分解には半年以上かかると理解はしているのだけど、トラクターの回数を増やせばある程度こなれると思ったのだけど。形を変えて馴染んでいくには思った以上に時間がかかるのだ、その実感は想像力を鍛えるのだ、と改めて大切なことを学びました。そして原因は、苗の出来や、それぞれ作業のタイミング、肥料の量や肥効具合と複合的。これまでと同じように栽培しても、状況は全く同じではないので、振り返って試して、その経験の積み重ねです。野菜の状態が不安定で、味の変化の幅が大きく料理に使いにくい。心苦しく感じていたときに、雨が少ないと野菜の病気が少ないからいいよね、という温かい声に励まされることもありました。私のお気に入りの、甘くみずみずしい・はくれいかぶにトレビスなどをたくさん料理してもらい、喜びもいっぱいでした。

今年の梅雨は雨が多くて病気が心配!病気の原因となるカビが加湿で増殖して、雨上がると病気が蔓延するかもしれない。日照不足でもやしっ子の野菜は、真夏のきつい日差しを耐えきれるだろうか、ただいまヒヤヒヤしています。私も雨に降られながらも、雨上がりの美しさに、草木の香りがいろいろと満ちて、特にハーブ類の息を吹き返したような香りに、いつも心動かされてしまいます。

雨に潤う6〜7月は、異常なスピードで伸びる雑草に覆われてしまい、草刈りが追いついていませんでした。夏野菜の管理作業もありいっぱいいっぱい。春先から秋口までの長い奮闘に、体力不足でぐったりしますが、8月の立秋を過ぎると秋冬の野菜の本格的な栽培が始まるので、もうひと頑張りです。真夏の野菜の管理をしながら、真冬の野菜の準備や想像をしていると、季節感が混乱してザワザワしますね。みなさまも秋冬の畑の準備を始めてくださいね〜!

この夏から、毎週かま屋の加地さんとミーティングが始まりました。時には畑を巡りながら、ランチのメニューに使う野菜の状況を共有することを中心に、「育てる」と「つくる」をつなげていく時間です。

「レタスやトレビスが終了するけど、生で食べれるかぼちゃのコリンキーができてきたよ」「きゅうりもあるから、ゴロゴロ野菜のスライスサラダはどうだろう」という流れで、農園サラダの内容が変わっていきます。「夏はこれ食べたいね〜」「それ美味しそう〜」から「ツルムラサキやモロヘイヤが出来てきたよ。それぞれに量は少ないけれど、ネバネバ野菜が色々入ったメニューだといいかも」っていう話にお互いにワクワクしています。

「ビーツがたくさんあるので使ってくれたらうれしい」から、ビーツを積極的に使ったメニューが大好評!「ビーツはあまり使ったことがなかったけれど、調理できる幅が広くて勉強になるわ。色々試してみる!」「渦巻きビーツの大きいサイズが筋張っていて使えなかったよ」というやりとりは、お互いの技術や質を上げてゆくでしょう。美味しいものをつくりたい、食べてもらいたい、その気持ちが大切にできる時間でもあります。

野菜の出来がいい時も、いまいちの時もあるなかで、継続的に「使うね、食べるね」と言ってもらえることは、農家の支えと励みになります。野菜の生態や畑の状況は、料理する人の想像力を広げ、今ある旬ものを具体的に生かすことにつながります。こうしたやりとりの積み重ねが、美味しいご飯や野菜を作る下ごしらえのような気がしています。

この夏休みからは食育係として、かま屋の下にある畑をめぐるちょっとしたツアーを計画しています。畑の世界はどのようにできているのか、私自身も知らないことが沢山あります。自分の中で学び紡いでいくとともに、一緒に畑の世界に驚かされて、植物を愛でて、面白がっていられたらいいな、と思っています。それが楽しいんですよね(私的、野菜の奥深さは、あんな野菜こんな野菜web版記事にまとめています!)

地域の気候や環境、植物の生命力、農家や料理人の愛情や、たくさんの関わりから出来上がった、味わい深いもの!を、みんなでいただきましょう。日々日々、ご飯の時間が楽しくしあわせ〜!でありますように!!

この日誌を書いた人


nakaniwa@foodhub.co.jp ()

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