ちえちゃんの あんな野菜、こんな野菜
「ケール」(2020年1月号)

ちえちゃんのあんな野菜、こんな野菜つなぐ農園育てる

絵:大東千恵
絵:大東千恵

こんにちは、大東です。今月はケールを紹介します。

原産は地中海沿岸。アブラナ科の葉野菜です。歴史はとても古く、紀元前には移動しながら生活をするケルト民族が栽培していたことから、ケールと呼ばれるようになりました。

土壌や気候の変化に影響されず、冬の間も枯れない力強い野菜で、バイキングの海賊時代には航海に不足するビタミンCをケールで補っていたこともあり、他の民族が真似をしてケールが世界的に広まったとされています。日本に初めて伝わった江戸時代には観賞用の葉ボタンとして栽培されていましたが、戦後の栄養不足の解消のため食用化されるようになりました。

ケールを祖先としてキャベツやブロッコリーなど様々な野菜が生まれました。野菜は品種改良の過程で食べやすくするために栄養素が失われていく一方ですが、ケールはこれらの野菜の原種であるため、他の野菜より群を抜いて栄養素が豊富に含まれており「緑黄色野菜の王様」とも呼ばれています。ビタミン、カルシウムの含有量はトップクラス。食物繊維も豊富。βカロテン、ミネラル、マグネシウム、鉄など、ひとつの野菜に豊富に様々な栄養成分がバランスよく含まれている野菜は類を見ません。

この栄養素の中には熱や水に弱いものもあるので、バナナや豆乳などと一緒に自家製・青汁ともいえるスムージーにすると栄養たっぷり頂けます。ほかの野菜やナッツ類と併せてサラダもおすすめ。細かく縮れてパセリのような葉の「カーリーケール」はドレッシングの絡みがよく、ふんわりボリュームが出ます。小さな若葉の「ベビーケール」は、やわらかくクセが少ないので食べやすいですよ。

食物繊維やカルシウムなどは熱に強いので加熱調理にも◎豚肉やベーコン、オリーブオイルと相性が良く、加熱することで甘味と旨味がぐっと増します。その濃い味がやみつきに。炒めすぎ茹ですぎると色や栄養価が落ちるので、サッと時短料理の一品にもってこい。丸いシワのない葉の「コラードケール」や、青々とした葉に軸が赤紫色の寒さに強い「シベリアンケール」は茎の部分が固いので、葉と茎で時間差で調理すると丸ごと美味しく頂けます。

ケールはフレッシュなものほど風味が良く、日が経つと苦みが出やすいので、塩でもんだり、塩を入れたお湯でサッと茹でると苦味が和らぎます。また、カットして数分茹で水分をしっかり切ると冷凍可。キャベツのように霜に当たる冬場は甘みが増すけれど、葉がガシガシ厚くて生食には向かなくなり、夏には苦味が強くなります。用途や季節に合わせて使ってくださいね。

ケールは生命力が強く、育てやすい。直立した茎に楕円形の葉を付け高さ1mほどになり、まるで結球しないキャベツのような姿です。暑さには弱いけれど温暖な気候であれば1年中栽培ができ、気候の良い春秋は種まきから40〜50日で収穫ができるんですよ。

海外では、栄養価の高いスーパーフード「Queen of Greens 青菜の女王」と呼ばれ、色々な料理やおやつ用のケールチップスも人気で、日々気軽に取り入れられています。「青汁の、苦い野菜」というイメージはもう過去のもの。ここ最近の健康ブームもあり、柔らかく苦味が少ない食べやすい品種のケールが出回るようになりました。つなぐ農園でもケールの栽培をしています。かま屋でお家で、フレッシュなケールを味わってください!

この日誌を書いた人


nakaniwa@foodhub.co.jp ()

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