【かま屋通信100号記念】書き手座談会

かま屋通信

2017年10月号からひと月も欠かすことなく発行してきたかま屋通信。その時々でメンバーが代わるがわる筆を執り、書くことに向かってきました。農業や、料理、パンや加工品の製造など日々さまざまな活動がある中で、書く時間をどのように捉え、どう向き合っていけると良いのか。一緒に考えてみたいと思い、座談会を開催しました。かま通執筆歴(フードハブ歴)の長い3人と、読み手でもあり、書き手としても携わってくださっている里山の会の上地さんとお話した様子をお届けします。

話し手/上地公一さん(里山の会)、笹川大輔(かまパン&ストア)、清水愛(かま屋)、山田友美(加工部門)

聞き手/畔永由希乃(かまパン&ストア)

 

--みなさんは普段、どんな風に「書く」ということに向き合っていますか?

上地さん 日々の農作業の中での楽しさとか、嬉しさ、苦しさなど、その実感を直にかま通に載せていく。原稿を書くっていうのはそういうことだと、里山の会のメンバーには常々言いよんやけどね。背伸びして、ええ格好しても仕方ない。どんな仕事をしていても、良いことも悪いことも全部一つの言葉になっていくと思うし、そういう文章でないと響かんでな。例えば、畑の草むしりをするにしても、頭に原稿が浮かぶ時もある。それを書き残して、後で見返して「ああ、あれはこうだったんか」って反省もできるし、気づきにもなる。

笹川 わたしが以前、眞鍋さんに教えてもらったのが、「読むことは人を豊かにし、話すことは人を機敏にし、書くことは人を確かにする」というイギリスの哲学者の言葉。自分がインプットしたものを、人に話して、それを書くという行為が自分を確立していくっていう意味だと思っていて、かま通を書くことにもそういう側面があるんじゃないかな。編集が入る時に「なんでそう思ったの?」って書いていないことまで問われたりする。問いに対して考える中で、自分の思考や気持ちがより明確になって「こういうことだったんだ」って、やっていることの意味や価値を再認識できる感じがあって。日々の活動の一つ一つをやりっぱなしにせず、立ち止まって、言葉にする。そういう時間を経て、自分が確立されていくんだと思います。

--もぐさんは、どうですか?

清水 わたしは初め、かま通を本当に書きたくなくって…。同期のゴロちゃんに「ゴーストライターになってもらいたい」って冗談で相談してました。

一同 えーっ(笑)。

清水 昔から国語は苦手だし、感想文も大嫌い。それでもかま通と向き合う中で、最近は「これを書こうかな」って気持ちが沸いてくる瞬間があります。例えば、農家さんや農業チームを取り巻く現状を聞いた時。みんなが直面している農林業の課題を聞いて「これはいろんな人に知ってもらいたい」って思って。かま屋ではなかなか伝えきれないので、かま通で伝えられたらと思って最近は書いています。

--2025年8月号の特集で書いてくれていましたよね。

清水 そうそう。自分ではあんまりうまく書けなかったなと思っていたけど、記事を読んだお客さんから「自分も農家さんや地域の人のお手伝いから始めてみようと思った」って声をかけてもらえて。「なにかできる行動をしてみよう」って思ってもらえたことはすごくうれしかったです。

--やまちゃんは前向きに書くことに向かっている印象があるんですけど、どうですか?

山田 わたしは、しゃべるより文章に落とし込む方が得意なので、書くのが割と楽しい派。書くことは、自分の考えがまとまっていくような作業だなって。最初の頃は「こんな商品ができました」ってポップの延長のような文章ばかり書いていたけど、これじゃ面白くないなって。そこから次第に、普段の関わり合いから生まれるストーリーを文章に落とし込んでいくようになりました。加工品を作る上で、農家さんとどんな会話をして、どんな風にやり取りをしているのか、とか。商品ありきだった文章が関係性から生まれる文章に変わって、書くことがもっと楽しくなりました。

 かま通を発行していると、地域の人から「読みよるよ」ってよく声をかけてもらえるんです。生活改善グループのお母さんたちは「やまちゃん、また書いとらんやん」って冗談交じりに言ってくれたり。それっていつも読んでくれているからこその声掛けですよね。だからこそ、その世代の方にもわかりやすい文章にすることは意識しています。例えば「オペレーション」じゃなくて「段取り」って言葉にしたり。ちなみに、あるお母さんはわたしの写真が大きく載ったかま通に向かって「おはよう」と「おやすみ」を毎日言ってくれているそうです(笑)。

笹川 よく「新聞に載っとったで」って言われるから「え、徳島新聞に出たっけ?」って思うけど、神山の人たちはかま屋通信のことを新聞だと思って声をかけてくれるよね。

上地さん ほうよ、地元の人が載っとったら「誰や、載っとったなあ」って声かけたりもするで。読む人も楽しみにしてくれとんちゃうで。

 最初の頃は、フードハブが何しよんかようわからんって人は多かったと思う。けど、日々の活動の様子をかま通で伝えていく中で「ああ、ほういうことをしよんやな」って理解も広まっていったように思う。最近はちょっと内容がマンネリ化しとる部分もあるように思うけん、いいところは残しつつ、少しずつ変化させて、次の10年に向かっていけるとええと思うでな。読む人が待ち焦がれるようなかま通になったらいいな。

笹川 ただ続けるんじゃなくて、自分たちがかま通をなんでやるのかってことはちゃんと考えていきたいよね。かま通がどんな状態であれば“いい媒体だね”って言えるのか。毎月発行することが目的では無くて、かま通っていう媒体を通じてお客さんとも繋がれるし、自分たちも繋がれる、社会とも繋がれる手段というか。そのためには、個々が自分の言葉で伝えるっていうことを研ぎ澄ましていくことが大事なんじゃないかな。そのためには、難しいことでもあるけど、個々が自分の言葉で伝えるっていうことを研ぎ澄ましていくことが大事なんじゃないかな。

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