75分をどう使う?
16回目の「みんなでつくる全体会議」

全体会議

75分の使い方その①:上一宮大粟神社にて
75分の使い方その①:上一宮大粟神社にて

今回のテーマを決める委員ミーティングではメンバー5名が「全会一致」でワクワクしていた気がする(珍しいパターン)。

2019年を振り返って

年末年始に2019年の「みんなでつくる全体会議(以下、全体会議)」のレポートを読み返していた。今なら別のやり方するよなーと思うものもたくさんある。視野が狭まっていく感じ、変な責任感から場をコントロールしなきゃと焦る感じ、かと思えば参加者に委ねて(投げて)放置する感じ。渦中にいると見えなくなることはたくさんある。

メンバーの入れ替わりも多い1年だったが、コミュニケーション環境が安定し、全体会議の主目的にしていた「社内コミュニケーションの環境整備」は波はあるが整いつつある状況だ。今回のように、緊急度や重要度が高くない内容を全体会議で取り扱えるようになったことがそれを証明している。

全体会議の企画を担う「委員ミーティング」は、自ら参加を希望したメンバーで構成されている。2019年前半は1回ごとにメンバーが入れ替わりながら毎度フレッシュな顔ぶれで進めていたが、2019年後半は固定されたメンバー(もちろん希望制)で企画してきた。たまたま同じメンバーがずっと続いているのは、いいんだか悪いんだか。

委員メンバーとの忘年会 @町内の焼肉屋さん「梅里」にて。

委員メンバーが入れ替わりながら全員交代で進める良さは、経験値が上がることやみんなの考えが反映されやすくなることだと思う。当初はその方法で試みたが、毎度「誰かがやらなきゃいけない」という重苦しい空気になり、楽しい方法ではなかった。2019年9月からは、毎回同じメンバーが参画し続け、対話を重ねてきた。対話時間の総数は30時間くらいになるだろうか。会議が安定してきたことに加えて、メンバーへの周知や事前準備、当日の進行等を分担してやっていけるのも心強かった。そして何より、このミーティングはとても楽しい時間だった。楽しい理由を言葉にすると、二つある。一つ目は「自分がどう思うか?」が素直に出せる場であったこと。違和感をそのままにせず、安易な選択をとらず、前向きで建設的な話し合いができた。もう一つは「みんなで」を具現化していけたこと。何かを決める時、一部の人たちの考えだけで進めることは簡単だ。でも、委員ミーティングでは、その場にいないAさんだったら、Bさんだったら、という具合に「みんな」がどう思うかにも意識を向けられるメンバーがいた。「みんなでつくる全体会議」という名称にメンバーらの気持ちが縛られる時期もあったけれど、「みんな」という言葉が入っているから意識が向くという側面もあると思う。

 Food Hub Projectは、自分たちが正しいと思うことを、世の中と自分たちに問い続けるオープンな活動です。」

これは支配人 真鍋が立ち上げ当初の記事に記した言葉だ。

「会議を、会社を、自分の仕事をどうしていきたいのか」を問うことは、目の前のモノゴトを自分ごとにし、会社で掲げる理念を推進する一歩になっているように思う。社内のコミュニケーションを起点に新しい仕事や新しいやり方が次々と始まっている状況を鑑みると、社内コミュニケーションに主軸をおいてきたこれまでの「みんなでつくる全体会議」のあり方をベースに、もう少し踏み込んだ場をつくっていけるタイミングなのかもしれない。

今後はメンバーらの「やらねば」「やってみたい!」「やるぞ!!」が次々と(黙々と)出てきそうな雰囲気がある。長い時間軸でみると、やりたいことを見つけて会社を離れるメンバーもいると思う。基盤となる日々の経営や地域の人たちとの関係性をより強固なものにしていきつつ、個人単位での学びや成長の実感が得られる職場環境をどうつくっていくとよいのか。模索は続く。

今回のテーマ設定の経緯

2019年9月からの全体会議のテーマを振り返ってみる。

⑫ 災害時の対応
⑬ 「おいしさ」について考える
⑭ 「自分」と仕事を考える
⑮ 農業チームの話からフードハブのこれからを考える

これに続くテーマとして1月のミーティングで出てきた案は次のとおり。
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・春(桜〜GW)の計画
・年間計画を立てる
・ハウスを建てる
・みんなでバスツアー
・登山
・みんなでダンス
・みんなで釣り
・みんなでラフティング
・映画
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労働時間を補完するような時間の使い方は歓迎されない気がした。とはいえ、遊びが大部分を占めるこの案どうなのよ(苦笑)。全員が集まる貴重な2時間をどう過ごすのがよいのか、このミーティングは珍しく沈黙が続いた。

少人数の自由時間にすれば?

全員で一つのことをやるのは難しくても、少人数の組み合わせであれば「やってみたいこと」に手が届きそうな気がする。人の組み合わせもランダムがいい。全体会議のなかに75分間の自由時間を盛り込むことにした。どよーんとしていた委員ミーティングの場に、明るい光が差し込んだ。

当日の様子

2020.1.14 今日の流れ

後半の「大人のフィールドワーク」の様子をここでお伝えする。

大人のフィールドワーク「75分の使い方」

委員で決めたのは帰着時間だけ。

カードをひき、同じ数字のカードを持っているメンバーでチームになって、いざ、75分間のフィールドワークへ!

かま屋内キッチンでその日の仕込みをやっていた人たち

雨乞の滝に行って雨乞をしてきた人たち

大粟神社での初詣から大粟山登山コースを堪能した人たち

焚き火して焼き芋を食べた人たち

町内の案山子スポットを巡り、アオハルな写真を撮ってきた人たち

メンバー宅を訪問し、お茶タイムを過ごした人たち

町外までドライブし、お茶をして帰ってきた人たち

戻ってきて、写真を共有しながらそれぞれの75分間を報告(なんだか、みんな生き生きしていたな…)。

メンバーらの振り返り

  • チーム分けのあと、すぐに各チームがさっさと外に出ていっていたことに驚いた。(もう少しどうしよ~という空気が流れるかと。)
  • たった75分間でこれだけいろんなことができるなら、小忙しさを理由にしないで、もっと動け!と自分に喝をいれている。全体会議の場のイメージが、自分のなかで少し凝り固まっていたことにも気づけて良かった。
  • 自由行動では、各々が違う方法でメンバーとコミュニケーションをとり、これからの全体会議の可能性を探った感じで面白かった。どのチームも仕事の話を全然してなさそうだったのも興味深い。
  • 楽しかった。月一回の会議がこれだなんて変な会社だなと思った。もう一歩踏み込んだ事がしたくなったけれど、その物足りない感覚もまたよかった。
  • どんな枠にするかでこんなにも印象が変わることが発見だった。
  • 一緒になったメンバーと有意義に過ごせて良い時間だった。反面、自分の思考の中には会議(時間)=お金、の考えもあり、コミュニケーションの場としても、少しでもお金を生み出す事に繋がる時間に出来ないかと考えてしまう(例えば野菜の定植をするとか、かまやの販促活動をするとか)。売上が上がればそこは緩和される部分なので、売上を上げられるように頑張りたい。

一般的に、「会議」という言葉から連想する時間はどんな時間だろう。

会議後に出された8名のフィードバックから全体の印象を語るのは難しいが、「何のための会議?」という問いがよぎったメンバーもきっといる。委員が提案する内容をみんなで共有する会議と、メンバーらの自由な発想で内容が決められる会議と、軽重はつけられない。個人的には、“毎回自由時間”にしたら一体どうなるのだろう?という好奇心が頭の大部分を占めている。それこそ「主体的」にならざるを得ない場じゃないか(企…ニヒッ!)。とまぁ、思うところはあるけれど、「全体会議、これからどうしていくの??」っていうのをここから改めて考えていきたい。

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居たいと思う人が居続けられる職場環境をどうつくっていくか。

ここを離れるメンバーと、どんな関係が続いていくのか。

ここで培われたものは、別の場所でどんなふうにはたらくのだろうか。

どんな場所でも、相手が誰であっても、ゆずれないこだわりはなんだろうか。

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次回につづく。

この日誌を書いた人

樋口明日香

NPO法人まちの食農教育
樋口明日香 (ひぐち あすか)

前フードハブ 食育係。徳島市出身。神奈川県で小学校教員として働いたあと2016年からフードハブに参画。2022年3月より現職。まちの小・中学校、高校、高専の食と農の取り組みにかかわりながら「みんなでつくる学校食」を模索中。 https://shokuno-edu.org/

その他の活動

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