2018年9月3日(月)
神山の阿波晩茶
~人と人が繋がることで思いが繋がる~
昔は神山でもよく作られていた阿波晩茶。新芽より古葉が良く、夏の暑い時期に茶摘みをし、茹でた後に乳酸発酵させ、天日干し。人手も手間もかかるこの作業は、時代の流れと共にだんだんと割に合わなくなり、今、神山では作り手がほとんどいないそう。そんな神山の阿波晩茶を、自分達の手で作り、次の世代に繋いでいく。今回は、8月から9月にかけて行ったフードハブ初の阿波晩茶作り(前半)の様子をお伝えします。
朝6時から茶摘みスタート!フードハブメンバーとボランティアさん達総勢25名で行いました。
古葉に実が付き始め、綺麗な葉だけを手際よく摘むのは至難の業。慣れない作業に、容赦なく照り付ける太陽。7時を過ぎた頃から汗が額を流れ、外で農作業する方の大変さを感じながら、やっと1回に仕込む量の茶葉を収穫出来ました。
翌日、朝から下分加工場で釜茹で。今回の阿波晩茶作りの先生である西千代美さん、公三さんにも来て頂き、フードハブメンバーと一緒に作業を行いました。
まず、茶葉を綺麗に洗い、表面の汚れや枝、実を取り除き、沸騰したお湯に入れていく。
葉の色が変わったらザルに揚げ、熱いうちに茶磨り機に移し、泡が出るまで荒磨りする。
この作業、2人の息が合ってこそよく擦る事が出来ます。初めての作業に最初は苦戦しましたが、回数を重ねる毎にだんだんとコツを掴んできました。汗を流しながらの力仕事も、2人1組だと頑張れます。茶葉が泡立ってきたら次の工程へ。
茶磨り機から出てきた茶葉はまだ熱を持っているため、シートの上に広げて冷まします。冷ましながら、取り損ねた実をなるべく綺麗に取り除きます。実が付いたままだと、カビが生える原因になるそう。このひと手間が、美味しい阿波晩茶へと繋がっているのを感じました。
茶葉が冷めたらいよいよ樽詰め。漬物樽に茶葉を均等に入れていき、上から足で踏み込みます。
その上から茹で汁を注ぎ、表面の空気を遮断。漬物石を2個置いて、14日程度発酵させます。晴天の日は気温も高く、ブクブクと発酵しているのが良く分かりました。曇り空の日は、朝晩の気温も下がり、あまり発酵が進んでいないように感じます。とにかく自然の力に任せるしか無い所も、阿波晩茶作りの面白い所だなぁと思いました。
今回、フードハブが阿波晩茶を作るに辺り、茶磨り機を作って頂いた白土さんを始め、沢山の方々の協力があってこそ、無事に1回目の作業を終える事が出来ました。
ご協力頂いた皆さま、心から感謝致します。本当にありがとうございました。
昔から伝わる知恵と伝統を私たちが受け継ぐ事で、少しでも多くの人に残していけたらと思います。ただ作業工程を覚えるだけでなく、人と人が繋がる事で思いが繋がる。いつか記憶の中で思い出すのは、一緒に作業したメンバーの顔だったり、湯がいた茶葉の香りや真夏の蒸し暑さの熱気だったり。繋いでいくという事は、目に見える成果だけでは無く、そこに至るまでの苦労や大変さ、それら全てを感じ取りながら同じ時を共有することだと思います。
まだまだスタートしたばかりの阿波晩茶作り。どんな味に仕上がるか、今からとても楽しみです。>>後編へ。
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