2022年3月15日(火)
「菌たちとの会話がとっても楽しい!!」
神山椎茸・糸山達哉さん
みなさん、こんにちは。神山椎茸の糸山達哉です。
私は小さいころから動物や植物を育てるのが大好きで、大人になった今もたくさんの生き物と一緒に暮らしています。ひょんな縁から、神山町で仕事としてしいたけも育てていて、子供の頃からずっと変わらず飼育や栽培を毎日楽しんでいます。
しいたけ栽培の仕事にはたくさんの業務があり、その難しさは実に様々でどれも面白いものです。私は会社でしいたけが生える「菌床」というブロックを製造・育成する作業を行っています。そこで今回は菌床をつくる楽しさや奥深さを少し紹介します。
おいしくて大きいしいたけを育てるには、まず菌床をしっかり作り上げることが大事です。では、良い菌床をつくるにはどんな事に気を付ければよいのでしょうか?
それはズバリ、ハウス内の環境を整える事です。
菌床は、おが屑(くず)を固めたブロックに菌をまき、3カ月間ハウスで熟成させて作ります。この3カ月の間に菌がどれだけ行き渡り芽をつくれるかが、栽培の良し悪しの決め手となります。
例えばハウスが寒すぎると小さく形崩れした芽が多く出てしまいます。逆に暑すぎると芽が少なすぎて商売になりません。しっかり観察してその時に快適と感じる温度・湿度に整え、神山の清らかな空気を循環させてあげればきれいで肉厚なしいたけがたくさん生えます。
思えば、私と一緒に暮らしているカメや熱帯魚たちも同じなんです。飼育部屋の環境が普段とちょっと違うだけで急に調子を崩したり病気になったりします。どんな生き物も、元気でいられる環境を保ち続けるためには、毎日じっくり観察することが大切だなあと日々感じています。
そうして作り上げた菌床から、数日するとポツポツとしいたけの芽が生え始めます。そこから軸の太い、力強いしいたけに成長してくれた時の喜びはひとしおで、誰かに自慢したくなります。逆に生えすぎて形が崩れたり、全然生えない菌床になったりした時は、ひとつひとつ原因を考えて次の菌床づくりに活かします。こういう時はとても悔しくてたまりません。
育てるのに3カ月もかかると、ハウス1棟につき年4回しか作れないため、栽培環境を再現するのが大変難しいのです。ですから1回1回、1日1日の経験を大切に、本当に様々な事を考えながら育てます。
ずっと続けていると、まるで菌たちと会話をしている様な気持ちになってきます。
「今日はどう?元気?」
「イキイキ楽しそうだね!!」
今日もこれからハウスに入って、楽しくお話の時間です。