2020年12月14日(月)
種から育てる、つくる、食べる、つなぐ。
神山校の粉もん文化、どう育つ?
現在のコムギの祖先であるとされる「ヒトツブコムギ」の発見が約一万年前。時を経て、日本では饅頭、せんべい、おやきやうどんをはじめとした粉物文化が地域ごとに育っており、なるほど、食文化は歴史と土地と人に根ざしているものなのだと、今さらながら納得させられます。
小麦を播種した後の1年生30名に「小麦を使った食べ物」をあげてもらうと、すぐに30をこえる食品名が出てきました。
農林水産省が平成31年3月に出した「麦の需要に関する見通し」によると、現在、日本人が1年間に消費する1人あたりの小麦の量は30kgを少し上回るくらい。そのうち約9割は海外から輸入された小麦です。国産で、製粉まで地域でまかなっている粉(地粉/じごな)は希少であることがわかります。
まめのくぼ(神山町谷地区の圃場)で今年収穫できた神山小麦は約50kg(まかなえるとしたら年間2人分に満たない)。選別した小麦は一部を種として残した後、かまパンで製粉し、ふるいにかけ、ようやく「粉」になりました。
小麦粉は、タンパク質の量によって強力粉・中力粉・薄力粉に分類され、強力粉はパン向き、中力粉は麺向き、薄力粉はお菓子向き、というのが大まかな特徴です。生徒たちがグルテン量(タンパク質の一種)を調べたところ、神山小麦は薄力粉に近い粉であるという結果が出ました。データを蓄積して傾向や特徴がつかめるといいなと話しているところ。
コロナ禍で調理実習ができない異例の事態でしたが、城西高校本校(徳島市)の食品科学科のみなさんに焼き菓子を試作していただき、神山小麦の食感を味わうこともできました。
かまパンではパンや焼き菓子に使われているためその印象が強い神山小麦ですが、もともとは自家用の味噌や醤油のために栽培されていた小麦。10月に開かれたコンソーシアム(文科省事業における地域の方々との会議)では「麦味噌」 や「醤油」 にする案も出てきました。麺打って味噌と醤油があればラーメンできるじゃん!!!って話も(楽しみだなー)。
さて。2期目の小麦は11月下旬に無事発芽し、生育中。
秋には、町内の方から種を分けていただいて、蕎麦の栽培も試みました。あとは山芋を育てれば蕎麦が食べられるな…と先生方。
神山校生たちが育てていく“粉もん文化” …楽しみが、満載です。