2019年2月1日(金)
町の人たちとつくる3年目のお弁当プロジェクト
<後編>
樋口(食育係)です。今回は11月号でお伝えした神山分校2年生の「お弁当プロジェクト」の後編をお伝えします。
はじめに、この授業のことを。
城西高校神山分校で実施されている「神山創造学」は、昨年から始まった学校設定科目です。1年生では、町内の様々な場所に出かけて行くフィールドワークやしごと体験、聞き書きを通してまちのことを知り、2年生はテーマ別のプロジェクト学習に取り組んでいます。その中で、フードハブが生徒たちと一緒に取り組んでいるのが『お弁当プロジェクト』です。
<前編>では神山分校教諭 佐藤先生より「お弁当プロジェクト」の取り組みを紹介していただきました。今回は<後編>として本番(神農祭:10月18日)の様子と、お弁当プロジェクトを終えた生徒たちの振り返りをお伝えします!
今年のお弁当は「神山食いしん坊弁当」
なるべく町内産の農産物を使ったメニューにしようと相談し、決まったのは以下のメニューです。
子どもから年配の人まで好きな【さつまいもごはん!】
藻塩と学校で採れたすだちで味付けしたすだち鶏の【から揚げ】
郷土料理本『神山の味』を参考にした【ホウレンソウのゴマみそ和え】
神山町のお母さんから教わる【生姜の佃煮】
地域のお母さんから教わる「神山の味」
お弁当メニューの一つ「生姜の佃煮」は、「里山の会」の田中さんと川上さんから教わりました。
川上さんの畑で採れた生姜と、杼谷さんの干し椎茸とを合わせて煮込んだ甘辛い生姜の佃煮は、田中さんのレシピ帳から。お二人とも分校の卒業生ということで、佃煮の作り方だけにとどまらず在学中の様子も聞けたこと、とても新鮮な時間でした。
計4回の調理実習を終え、あとは本番で腕を振るうのみ。掲示物やその他の準備を進めました。
本番のお弁当づくり
前日の仕込みから始まりました。
お弁当プロジェクトのメンバー以外の生徒たちや、お弁当サポーター(呼びかけに集まってくれたボランティアメンバー)の力添えもあり、予定より早く仕込みが終わりました。
翌朝は7時から作業開始。この日も町内外からお弁当サポーターたち6名が駆けつけてくれ、100食分のお弁当作りに挑みました。
作業はとても順調に進み、予定時刻より早く100食分のお弁当が完成!
100食を抱えて分校の売り場へ急ぎます。(早くも行列ができている!との情報に焦りながら…)
少し経って後発組が売り場に到着した時には、すでに完売!
並んで購入してくださったみなさま、どうもありがとうございました。食べた感想(なるべく率直な)を生徒たちに伝えていただければうれしく思います。
前日と当日、生徒たちに寄り添いながら一緒にお弁当をつくってくれた心強いサポーターの皆さんには、感謝の気持ちでいっぱいです。
生徒の振り返り
生徒の感想の中から、一部を紹介させてもらいます。
- チーム内で意見が合わないこともたくさんあった。意見をまとめて言うことは、もともと苦手だったけど「意見を言う」ことを何回もくり返していくうちに慣れていった。自分なりにだけど、少しでもうまくみんなに伝えられたかなと思う。今回わかったことがある。周りの意見ばかりを聞くのではなくて、自分の意見を言うことはとても大切だということ。将来に少しでも役立てるといいなと思う。
- 正直不安しかありませんでした。ちゃんとできるんかなとか「おいしい」って言ってくれるんかなとか考えながらお弁当を作りました。お弁当を売ったあと、いろんな人が「お弁当おいしかった」と言ってくれました。めっちゃうれしかったです。みんながんばったかいがありました。
- どんな風に作れば買ってくれるか考えたことがありませんでした。どうしたら良いか分からないときは、「自分の思うたった一人の人に向けて作れば良いのだ」ということや、「もし自分が買う側ならどういうお弁当が目に入るか想像してみる」ということを学びました。
- 販売も5分足らずで終わってしまいました。そこで初めてこのお弁当は地域の人々に楽しみにしてもらえていることを知って、このプロジェクトを選んでよかったな〜と思いました。次は、3年生になった時に生活科の面々と一緒にお弁当を作れたらいいなあと思いました。
当初、想定していた食数は30食でした。初めてだし、人数も少ないし、時間も限られているし…、なんて頭の中で「できない理由」を並べていた私は反省しかありません。
試作をした後の話し合いで「先生たちが『できる』って言うなら、100食やってみるよ」と言った生徒の一言は大きかった。
まずは「やってみる」場をつくること。そして、プロジェクトを通して一人ひとりの思いやみんなの願いがかたちになるようにフォローしていくことが自分の役割。今回の様子を見ていると、生徒たちの力でできることはまだまだたくさんありそうです。
当日の行列をみた佐藤先生、「500食は作らんとみんなに行き届かんね」と…(!)。
→ 次年度につづく(?)。