見て、聞いて、嗅いで、触って、感じたことが、
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食育

広野小学校、神領小学校の5年生によるもち米づくりが始まりました。

食料生産(社会科)や植物の発芽と成長(理科)の学びに、もち米づくり(総合的な学習の時間)の体験的な学びが繋がっていきます。

昨年の5年生から受け取った種籾を塩水につけて選別し、土にまいて苗を育て、ようやく田植え。感覚を伴って蓄積していく個々の学びは豊かで、それは子どもたちの表情や言葉が物語っています。

「塩水を作るのに生卵を使うのを初めて知った。」
「籾がきれいに上と下に分かれてすごいと思った。」
「入れた塩が多くてびっくりした。浮いたり沈んだりしてお米がだいぶ減った。」
「いい籾と中身が入っていない籾は見た目では区別がつかんから、ちゃんと塩水選をせないかん、いいものを選ばなあかんのやと思った。」

種籾を塩水に浸し、浮いてくる様子を見ているところ。

種籾は、芽出しの工程を経て土の上へ。
「種籾がバナナマフィンみたいな匂い。」
(3年前糠や籾殻で肥料づくりをした時もバナナマフィンの匂いがしていたね)
「赤土、籾、ミミズ土(覆土)の3工程あったのがびっくりした。」
「赤土って言ってたけど赤くない。」

均等に種がまける機械と比べると、手まきは個性が出ます。「“みんな違ってみんないい” やな。」と先生。

子どもたちからの質問タイムに、白桃茂さんが「気候が変わってきていて、(農業は)昔の暦に合わせたやり方だけでは対応できんようになってきた。答えがないことをやっていく時代、対処の仕方や応用力を勉強するといいよ。」と。

刻々と変わる情勢、進化する技術を前に、大人だって日々新しいことに向かっています。その(あくせくしている)姿を子どもたちに見せていきたいなと思うし、新しいことを試みる前向きな気持ち、やればできるんじゃないかという気概、それらを獲得できる体験を、子ども時代にこそ身近な場所で積み重ねられるといいなと思うのです。

さて、田植え。
苗を植え、田んぼの中にいる生き物に触れ、田植え機の操作もやってみるという盛りだくさんの半日でした。
「手植えをしたことが一番心に残った。大変だけれど、みんなで協力してできたので楽しかった。」
「田植え機に乗ったことが印象に残った。」
「まっすぐ植えるのが難しかった。」
「ヌメヌメしていた。土の手触りが気持ちいいし、冷たくてひんやりしていた。」
「手と機械との正確さの違いにびっくりした。」
「肥料がワカメだと知っておどろいた。」

ここからは、大人たちのあくせくしながらの除草作業が始まります。

この日誌を書いた人

樋口明日香

NPO法人まちの食農教育
樋口明日香 (ひぐち あすか)

前フードハブ 食育係。徳島市出身。神奈川県で小学校教員として働いたあと2016年からフードハブに参画。2022年3月より現職。まちの小・中学校、高校、高専の食と農の取り組みにかかわりながら「みんなでつくる学校食」を模索中。 https://shokuno-edu.org/

その他の活動

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