フードハブ・プロジェクト 共同代表就任のご挨拶

かま屋通信

2021年3月に設立から丸5年を迎えたフードハブ・プロジェクト。この節目に、農業長・白桃薫と支配人・真鍋太一が新たに共同代表を務めることになりました。前代表の林隆宏は共同創業者として引き続きフードハブ・プロジェクトに関わっていきます。今回は、神山町のみなさんに「かま屋通信」を通してお伝えした白桃、真鍋の所信表明をご紹介します。

初志貫徹 農家になります!!

こんにちは。この度、前代表の林隆宏より支配人の真鍋と共同で代表を引き継いだ、白桃薫です。畑の小麦も色づき始め、田植えの準備が忙しい時期を迎えています。夏の始まりを感じながら田畑での時間を楽しんでいるこの頃です。

2021年3月末をもって、15年間勤めた神山町役場を退職することになりました。5年前、フードハブの企画提案の場で、「役場を辞めてでもこのプロジェクトをやりたい」とワガママ承知で宣言し、役場から出向という形で農業長(農業と人材育成の責任者)を勤めてきました。今でもその時の気持ちは変わらず、自分が生まれ育った神山町で農業を生業としてやっていきたい、町の農業・田畑・農業が育む景観を守っていきたいと強く思っています。だからこそ、支配人の真鍋と共同代表として、次の5年に向けて新たな体制で進んでいきます。共同代表としては1年生で、もちろん不安もたくさん抱えながらのスタートですが、私が担うべき役割は変わっておらず、地元出身者として地域との繋ぎ役を担っていこうと考えています。

この5年間を振り返ると、色々な方に支えていただきながら、皆で毎日毎日、種をまき、野菜を育て、それらを使った食事・パン・加工品をつくり続けてきました。短期的に見るとなんでもないように見えるかもしれませんが、10年、20年後に見返すと、違った景色が見えるのではないでしょうか。日々の食の蓄積が食文化となって、1978年に発刊された「神山の味」のように、見返してみると地域の価値になる。だからこそ、種をまき、食をつくり、みんなで食べていく日々を続けていこうと思います。

まだまだ未熟な我々ですが、引き続き地域の皆様に温かく見守っていただければ幸いです。

ももくり三年、かき八年。実り早くて数十年。

この度、前代表の林からバトンを受け取った共同代表の真鍋太一です。会社設立から6年目の春。昨年のこの時期、かま屋は営業を1ヶ月お休みし、背水の陣で営業をビュッフェ形式から定食スタイルに刷新した直後でした。

「5年後だとおそすぎる。」

農業指導長の白桃茂がお店ができた時に話した言葉です。今も猛威を振るうコロナ。ここまでは、わたしたちの「自治の力」を試され続けた5年でした。

最近読んだ本に、「民主主義とは、自分たちの社会の問題を、自分たちで考え、自分たちの力で解決していくことのはずだ。」※とありました。それは選挙などの制度の話ではないと。神山という町の土壌には、自分たちの力で、自分たちの地域をより良くしていくという民主主義の本質、自治の力がまだ残っていると、農業を真ん中にした活動を通して実感しています。私たちは自分たちの“手”でどう考え、この先が見えない時代を耕していくのか。茂さんはそれを私たちの世代に伝えたかったのではと思います。

「小さいものと、小さいものをつなぐ」

これは白桃薫の言葉です。小さいものと、小さいものを、いくつも無数に神山の人たちとつないできた私たちの活動。安易な答えを求めず、なんども話し合い、考え、模索する毎日。私たちなりの民主主義による組織づくりと、ものづくりの積み重ねの日々でした。ここまでみなさんと交わした笑顔のあいさつと、数多くの支えがあったからこそ、ここまでやってこられました。

ももくり三年、かき八年。これまで地域のお父さん、お母さんたちがつないできてくれた「神山の味」を息子たちの世代へ渡せるまで、私もかかわり続けていきたいと思っています。これからも応援のほど、何卒よろしくお願いいたします。

※出典:宇野重規 2013年『民主主義のつくり方』筑摩書房

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