「あんなにちっちゃかった種が、
こんなにおっきくなったー!!」
神領小1年生、農家になる。

つなぐ食育

種まき(10月)
種まき(10月)

全身で応答してくる子どもたちのエネルギーに圧倒されながら、今年も神領小学校前の畑で冬野菜を収穫することができました!

10月6日に種をまいてから2ヶ月と少し。育てた野菜は12品目。食べ頃の野菜を子どもたちが収穫し、かま屋に納品。もぐ(かま屋料理長)の手で調理され、一般の方にもランチで提供されました。子どもたちが「つくり手(農家)」になるこの体験は、農業を少しでも身近に感じてもらう機会でもあり、一人ひとりが「育てる、つくる、食べる、つなぐ」の一部を担っていることを感じてもらえる機会でもあります。

昨年は世界中の流通が一時的にストップし、海外産農産物の一部は日本への輸出が制限される事態となりました。

「地産地食」を合言葉に、地域で採れた農産物を毎日いただいているわたしたちですが、それら農産物のおおもととなる『種』の国内自給率は…たった10〜20%なんだそうです。町内のある農家さんから「有事の時には真っ先に『種』を買う」と聞きましたが、種の確保あっての農業なんだと実感する言葉でした。

2019年春にシェフインレジデンスで滞在していたアマニーさん(子ども時代をパレスチナで過ごしている)は、「食べものは、その土地の文化。戦争は、人だけじゃなく文化も奪う。自国でずっと食べてきたものが食べられなくなること、たくさんの情報が入っているその土地の『種』が奪われてしまうことや使用を制限されることは、独自の文化が奪われること。一度奪われると二度と取り返せない」と話してくれました。

戦争は想像に及びませんが、世界中が大きな転換期を迎えている今、「一粒の『種』から芽が出て育っていく、それだけでワクワクする」「『種』はすごいの!」と話してくれたアマニーさんの言葉がよみがえってきてはグサグサと突き刺さってきます。

そして、大きな野菜を抱えながら「ちっちゃかった種が、こんなにおっきくなったー!」と叫ぶ子どもの姿をみながら、もう何も言うことはないなーと思うのです。

アマニーさん

どんな状況にあっても「食べる」ことは一大事。そして「食べる」までのプロセスに関わる経験は、食べものと人や場所をより身近なものにしていく、そう信じています。

子どもたちにとってより良い活動が展開できるよう、わたし自身も視力を上げる!と誓う年初め。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

この日誌を書いた人

樋口明日香

NPO法人まちの食農教育
樋口明日香 (ひぐち あすか)

前フードハブ 食育係。徳島市出身。神奈川県で小学校教員として働いたあと2016年からフードハブに参画。2022年3月より現職。まちの小・中学校、高校、高専の食と農の取り組みにかかわりながら「みんなでつくる学校食」を模索中。 https://shokuno-edu.org/

その他の活動

前へ次へ 閉じる