まちの人が読む風景を想像してできた
日常に馴染む新聞風のデザイン

かま屋通信

かま屋通信のバックナンバーをスクラップしてくださっているお客さんも。
かま屋通信のバックナンバーをスクラップしてくださっているお客さんも。

こんにちは、はじめまして。東京でデザインの仕事をしている石橋剛といいます。かま屋とかまパンのロゴマークや、食料品のパッケージ、そしてこのかま屋通信のデザインなどをしています。

神山町にはかま屋のオープンの準備で何度か行ったきりでしたが、今年の2月に城西高校神山校とかま屋でデザインの話(※)をする機会をいただき、3年振りに訪れました。オープン当初からメンバーも増え、初対面の人も多かったのですが、このかま屋通信やインターネットを通じて知っていたこともあり、初めて会って緊張するような感じもありませんでした。

かま屋通信は、日替わりのランチメニューを小学校で配られる〝給食献立表〟をモチーフに、まちの人に折り込みチラシで届け冷蔵庫に貼ってもらいたい、というのが最初の考えでした。しかし計画を進めるうちに、せっかく配るならみんなの活動を記事にしよう、となりました。チラシは普通、他の沢山のチラシの中でも一番目を引いて読んでもらえるように、インパクトがあり派手なデザインにするもの。しかし、かま屋通信はじっくり読んでフードハブのことを知って欲しいので、まちの皆さんが新聞の束から毎月一度、かま屋通信を見つけて広げる風景や、かま屋でお客さんがリラックスして読む風景を想像しながら、誰もが慣れ親しんでいる新聞のような見た目のデザインにしました。記事を書くのも、写真やイラストを用意するのも書き手自身。それぞれ仕事がある中でも書き続けられるように、コーナーは毎号大体同じ。内容がその時々で変わるような仕組みになっています。凝ったコース料理を毎回作るのではなく、冷蔵庫にある食材を使って仕切りのあるお弁当箱に、ご飯とおかずを詰めるイメージですね。

近年、お店や会社が何かを伝えようとする時、新聞や雑誌などの印刷物よりもスマホやインターネットなどのデジタルメディアを使うことが増えました。素早く同時に人々に情報を届けられますが、伝えた内容は長く残らず、すぐ消えていってしまいます。僕自身が普段デザインしているものも、それが印刷物であれ、どちらかというとすぐ消えていってしまうような内容のものも多く、寂しさを感じることがあります。

フードハブのデザインには、当初から「素朴でシンプル、親密で楽しい」というテーマがあります。普段の仕事では「素朴」と「親密」はなかなか扱いませんが、フードハブのデザインで扱い続けていることもあってか、僕自身が「素朴」と「親密」を生活の中で感じたり、そうありたいと意識することが増えました。これは個人的には良い変化です。

毎日の食卓を彩るオリジナル商品もデザインしています。

毎号かま屋通信を読んでいると、お店に来たり、会ったことがなくても、どんな人たちが働いているかなんとなくわかるでしょうか?お気に入りのコーナーや印象に残った記事はありますか?僕は生活の周りに農業がないので、記事で野菜を育てる人がどんなことを考えているかを知り、以前よりも農業が身近な存在になりました。裏面の献立表は東京からは食べに行けないので読んでいません!パンはたまに送ってもらうのですが、食パンを焼いて目玉焼きをのせ、その上にりんごソースをたっぷり乗せたら絶品でした。それでは。

(※)高校で実施したデザインの授業と、FHP全体会議のデザインの話

この日誌を書いた人

いただきます編集部


いただきます編集部 (一番、食いしん坊です。)

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