「自分」と仕事を考える。
14回目の「みんなでつくる全体会議」

全体会議

第14回「みんなでつくる全体会議」より
第14回「みんなでつくる全体会議」より

今回も、これまで以上に潜り込んだりかき混ぜられたりしながら終了。説明不足に加えて結果的にはよく分からない投げかけになってしまったにも関わらず、なんとかその場をつくっているメンバーがいる、その状況をとてもうれしく思えた時間。

テーマを決める

会議の作戦を練ったのは、前々回から引き続き加地、種本、笹川、朽木、渡邉、樋口。3ヶ月間、同じメンバーで話し続けている(毎回希望制)。話題は全体会議のことだけで終わらない。今の仕事の状況や過去の体験…考え方やあり方のようなものに向き合う時間が多くなっていく。ただ委員で話すだけであれば深まっていく内容も、「みんなでつくる全体会議」で考えていくための具体的な話になると、途端に様々な制限がかかって立ち行かなくなる。いろいろ難しくしてしまったなぁ…(楽しかったけれど)。

まずはどうやってテーマを決めたのか(ここが超大事)、それから当日の様子をお伝えする。

10月の会議の振り返りを受けて「自分」と向き合うことに時間をかけようと委員の考えが一致した。

❶どんなテーマで「自分」を振り返るか。
誰でも考えられるシンプルな言葉がいい。目の前のことを楽しめるって大事だよねー。「楽しい」がいいんじゃない。「楽しい時の自分は何をしているか」から考えてみるとか。「楽しい」と「うれしい」ってどう違うんだろう。自分の感情という点では同じだけれど、「楽しい」は自分が行動することによって起こる感情、「うれしい」は周辺からのいろいろを受けて自分が感じる気持ち。影響し合っていることを感じられるのは「うれしい」だから、全体会議で考えるのなら「うれしい」というテーマがいいかもね。のちのち「うれしい」というテーマは却下となる。

❷「農業」の話をどう聞くか。
農業チームのメンバーから「農業のことを話したい」という声が聞こえた。委員からは「農業のことを自分ゴトとして考えにくい」「聞いてもそれでおしまいになってしまう」という声があがった。「自分」について考えることに加えて、自分の「仕事」についても考えてみようか。農業を自分ゴトとして考えられる幅が広がるかもしれない。「自分」×「仕事」は何から考えるといいのだろう。育てる、つくる、食べる、つなぐ、というキーワードから考えるのはどうだろう。

❸全体会議でみんなと何をするか。
11月は「自分(と仕事)」を考える、それを受けて12月は農業チームの話を聞く。農業と自分の仕事の接点をそれぞれが考えられるといいのかも…。難しい。よくわからない。流れが不自然。委員のなかで消化不良が起こっており、全体会議当日までこのまま迷走が続く。
「自分」を振り返るきっかけの一つとして、紙を用意した。時間をx軸、充実度をy軸にしたグラフに、これまでに起こった出来事とその時々の「喜怒哀楽」の感情を書き込んでいく。

「喜怒哀楽グラフ」

「自分のための振り返りだよね?」「人に見せる必要はないと思う」「全部書こうとすると書ききれない…」「プライベートの出来事でもいいけど、自分の心の動きから今やっている仕事を考えたい」「未来のことって必要?」「未来を書くかどうかは個人にゆだねていいんじゃない?」「もっと好きに考えられる余白を残した方がよいのでは?」「これを使いたくない人は使わなくてもいい」「感情の動きを“見える化”すると、まだ気づいていないことが見えてくるかもしれない」「『喜』『楽』の感情の時に充実しているとは限らない」「『怒』の感情がある時に充実度が高くなる人もいるかも」「人によって違いすぎるよね、感情って」「y軸、『充実度』でいいのかな?」「んーーー他にぴったりの言葉が探し出せない…」「グラフの書き方は例を出す?」「例にとらわれてしまうのは避けたいよね」「言い過ぎないようにしよう」

こんな話し合いが8時間くらい続いた。次回はサラッと決めたい(と言いつつすでに委員会議の時間は3時間をオーバーしている…)。

大まかには①個人で振り返る→②選んだチームで話す(×2)、という流れ。②「選んだチームで話す」は、社内の4つの部門:育てる=農業、つくる=加工、食べる=かま屋・かまパン&ストア、つなぐ=食育に分かれた。実際にその部門に所属しているかどうかは無視して、その時話したいことや自分の気持ちが動きやすい場所に行くことにした。

第14回「みんなでつくる全体会議」

メンバー以外の参加は、ものさすタイランドより町山さん。

久しぶりに、ダンスからー!!(筋トレ!?)

「自分」をふりかえろう

「喜怒哀楽グラフ」を書いてみる。

  • 喜怒哀楽グラフというと、感情ベースなイメージだけど、実際のグラフは自分の充実度に基づくというのがわかりにくかった(充実度を測る時、私は成果とつながりやすい)。書き方の例があった方がわかりやすいと思った。
  • 喜怒哀楽グラフは、この頃考えていたことと重なり、それを書いて言葉にできたことはよかった。再確認する時間になった。
  • 自分のグラフは傾向がつかみやすく、まとまりすぎていたところが反省点。もっとドロッとしたところまで、グラフにできればよかったなと思う。
  • 自分自身の事を整理する時間になり自分自身を見つめなおす時間だった。またフードハブのメンバーがどんな事で喜怒哀楽の場面や、今までの体験談やどんな事を考えているのかを聞く事が出来きてとても良い時間だった。
  • 軸の表はまさに自分が決めて良いという座標。過去がわかれば未来に打つ点は見えると思った。
  • グラフの自由度が高すぎて、どう書いてよいか考えるのに時間がかかってしまった。グラフ以外の部分でも意図するところまで行けなかった、というのが全体を通しての実感。もっと時間が欲しかった。 

話そう 〜育てる、つくる、食べる、つなぐ〜

  • 振り返ってどういう会議だったのかということを自分で説明するのは難しくて、今回の議題になった経緯、喜怒哀楽グラフ、4つに分かれてみんなで話す、それぞれと、全体としての理解がきちんとできなかったように思う。
  • 分かれた後に話す内容や目標が設定されていなかったので、 グループによって話の密度にばらつきがでたような気がする。 ある程度の目標設定があると話が進みやすいかなと思った。
  • 正解がない議題なので、委員内でも言語化出来ていない部分があり、委員外のメンバーに伝わらずふわっとしたスタートになったのかなと感じた。ある程度の着地点を定めてそれに向かって考えるのもいいのではと思った。
  • よく分からないまま進む会議の中から、それぞれが何かつかみ取らねばならない雰囲気を感じた。

  • 委員からの提案スタイルで場を進められたことは、大事な機会になったと思う。「よく分からない」「モヤモヤ」という反応が出てきていることがとてもよかった(疑問や引っかかる点がないと自分について考えることはできないから)。
  • 休み時間もみんなの話が尽きないのが良かった。もっと話したかった!終わってからも収まらず二次会でめちゃめちゃ喋った。
  • 結論を出すための会議も大事だけど、同じ課題意識を持ったメンバーと、安心して話し・聴き合える時間も重要だと感じた。個人的には、話し合いが予想外に仕事観の話に展開して、他のメンバーの言葉が聞けたことと、その時間の熱量にはとても可能性を感じた。
  • 育てる(育つ)を考える時間は、色々なメンバーの意見を聞き、話す事で、自分自身が進むべき方向や、やるべき事を再認識できたので良い時間だった。
  • 終了後のメンバーとの会話が楽しかった。会議とは関係ない話だったけどなにかわからないけど大切な部分を触れらたような気がした。
  • 今回は内容があまりわからないままの始まりだったけど、良かった。テーマや行き先を先に決めたくなるのはやはり日本の文化なんだなぁとも感じた。
  • 喜怒哀楽のグラフを書く時間と、4つのテーマで話す時間のつながりが分かりづらく戸惑ったため、プロセスが途切れたように感じた。深い、良い時間になっていきそうだったので少しもったいなかった。

話し合いで使ったメモを貼って見合うことで共有

一人ずつ、今日の感想を話して終了。

  • 最後のシェアの時間に、消化不良だった・うまく話せなかったなどの声が聞こえたが、その声によってあの場がより自由になり、発言しやすくなったと思う。そういった意見こそ大事にききたい。
  • 前回の会議から自分に視点を置いて考える(意図はちがうかも)事をしていて、考える→色々な気づき→熱量UPで終わっている。熱量UP→行動に移したい。
  • 自己分析で自分自身と向き合ったり、他のメンバーのこれまでのバックグラウンドを1つの視点で共有できたことで、いろんなメンバーが集まって同じ方向を向いて活動するフードハブの面白さや魅力を改めて感じられる時間でもあった。

「持ち味」を生かしておいしくする

自分は自分のつくり手だし、メンバーそれぞれがこの場のつくり手だ。会議後、少し歯切れの悪い思いを抱えていたのは、委員からの提案に対してその他のメンバーが「受け手」になっているという構図がありありと見えてしまったからかもしれない。

目指しているのは「する」「される」の関係性ではなく「共につくる」関係性。誤解のないように言い添えるが、メンバーみんなに同じような行動を求めているのではない。自分の「持ち味」を知り、隣の人の「持ち味」を知り、一人ひとりの立場や経験、技能や特性が生かされる環境をどうつくるかを共に考えていきたい。これは、10月の全体会議で考えた「おいしさ」をどうつくっていくか、というテーマともつながってくる。人の「持ち味」を生かし合って、社内を「おいしく」したいのだ。

10月から、メンバー内で会議後に共有しているフィードバックを名前付きで共有することにしたが「名前付きで共有されると『本音』が書けない」という声があがった(書けない『本音』が気になる…)。今回のフィードバックは会議の参加人数の半分程度しか出されていない。会議の場で話したからもういい、という人もいると思うが「言いたいことが言えない」のは良くない。

毎月発行している「かま屋通信」は一人称で書くことをルールにしている。自分の考えを自分で伝える。書きたいことを書く。どう感じたか(感想)、自分だったらどうするか(提案/意見)が共有されるとうれしく思う。当日の会議だけで物足りなく感じるのなら、委員として会議そのもののやり方を変えたり提案したりもできる。「今の会議や会話は健康的な気がした。」と話すメンバーがいるが、そう感じているのはまだまだ少数派なのかもしれない。

ひとまずは、名前を名乗って「本音」でフィードバックができる場にしていきたいかな。

次回につづく。

この日誌を書いた人

樋口明日香

NPO法人まちの食農教育
樋口明日香 (ひぐち あすか)

前フードハブ 食育係。徳島市出身。神奈川県で小学校教員として働いたあと2016年からフードハブに参画。2022年3月より現職。まちの小・中学校、高校、高専の食と農の取り組みにかかわりながら「みんなでつくる学校食」を模索中。 https://shokuno-edu.org/

その他の活動

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