「おいしさ」について、考えた。
13回目の「みんなでつくる全体会議」

全体会議

第13回「みんなでつくる全体会議」より
第13回「みんなでつくる全体会議」より

こんにちは。食育係の樋口です。どうしても自分の言葉で書きたくてたまらない全体会議のレポート。13回目の様子(はや一ヶ月経ってしまったけれど)をお伝えします。

テーマを決める

今回、委員として会議の作戦を練ったのは、加地、種本、笹川、朽木、樋口。

フードハブが「よりよく」なるために、今みんなで共有すべき内容は何か。考えたいことは何か。自分はどうしていきたいか。なんとなく話し始めた前回の振り返りから次のテーマを決めようとしたのだけれど…一向に決まらない。全メンバーにとっての「よいかたち」をつくっていくことが委員の役割だとしたら、その委員のなかで考え方の違いや分かりにくさがあればあるほど、擦り合わせていく過程がおもしろい。なぜなら全メンバーの「いいな」に少しでも近づける気がするから。効率的ではないしかっこいい言葉も使わないけれど、とても泥臭くて好きだ。わたしが思う「よい会議」って、こんな会議のこと。恥ずかしげもなくそう言えるようになってきたこのミーティングは「みんなでつくる全体会議」の核だ。

その委員で話し合って決めた13回目の全体会議のテーマは「おいしい」について考えること。当初、委員の話し合いでは「農業を次世代につなぐ」というFood Hub projectの大きなミッションに近づく手立てを考えようとしていた。ところがどうもピンとこない。テーマが大きすぎることに気づき、「農業」「加工」「かま屋(食堂)」「かまパン(パン・おやつ)」「ストア(食料品店)」「食育」「経営」の各部門が考えられる共通部分(重なる部分)は何だろう?という問いが生まれた。

渡邊が言った「『おいしい』じゃないかなぁ」で決まった。実にシンプルな言葉。随分難しいところまで入り込んでしまった議論の結果が「おいしい」というシンプルで分かりやすくて誰にでも考えられるテーマだったことがとてもおもしろかった。全会一致でこれをテーマに置くことに決めた。

「おいしい」を考えよう

外部より、吉田大輔さんが参加。丁寧なフィードバックもありがとうございます!

会議の流れ

「おいしさ」を考える時間のはじまり。

まずは、自分にとっての「おいしい」を言語化し、少人数での話し合いを重ねるというのが今回の流れ。時間内に深めるところにはいけなかったのだけれど、参加したメンバーの振り返りから、この時間を振り返ることにする。

  • 伝えることの難しさや、考え切れている?という事を試されたような気がした時間だった。自分の中でまだ言語化しきれていない部分が見えたのと同時に、委員それぞれから出てくる言葉が、「その人が話すから伝わる」といった言葉の説得力も感じられて面白かった。

対話の時間、どうだった?

  • 共通のテーマについて対話する時間そのものがとてもいい。
  • “おいしい”を真ん中に置いて、これからの会社のこと、プロジェクトのことを考えていくのは、とてもよいこと。 どうすれば真ん中に置き、考え、議論し続けられるのかも考えてみたい。
  • 自分自身のおいしいの価値だけでなく、色んな人のおいしいと思う感覚を聞けたのでとても勉強になった。
  • シンプルな問いを考えて話し合うことで、フードハブのことや自分の仕事を見つめ直すことができた。
  • 自分に無かった視点のおいしいを色々聞けて気づきも多く勉強になった。まだ「おいしい」について自分の中で言語化出来てないのでもやもやしている部分がある。おいしいを知ることは、マーケティングや営業にも繋がると思うので、引き続き考え続けたい。
  • 普段「おいしい」について突き詰めて考える事が無かったので、良い時間だった。みんなの考えを聞く事で、自分の考えにプラスされていき、整理された。
  • 異なる視点のメンバーと意見を付き合わせるのは、自分の考えを振り返ることにも繋がりとても良かった。
  • 以前から自分自身の課題でもあったので、みんなと話すことで色々な意見が聞けてよかった。自分の中でのこだわりはまだまだ薄いが、少し見えた気がする。
  • 当たり前だと思ってたことも他の人から聞いてハッとした。自分で考えてる時は出てこなかった。

違いを知ること

  • 「おいしい」に対する価値観や考えがこんなにも違うものかと認識できた。自分の大事にしてきたおいしさが必ずしも万人受けするものでなかったり、でも「おいしさ」って人それぞれであるべきなんじゃないかなと思ったり。多様性の中から生まれてくる深さみたいなところに進んでいくきっかけの様な時間になった。「おいしさ」は万国共通だけど、一人一人の価値観や人生観にも繋がる。
  • それぞれの捉え方が、多様でとてもおもしろかった。自分の「おいしい」の考えを深められる機会になった。

「おいしさ」をどうつくっていく?

  • これから一緒に働くスタッフ内で話し合い同じ方向に向かっていくきっかけになったのがとても良かった。
  • チームで「おいしい」を落とし込む部分が自分の中では不完全燃焼。根っこを考えるというより、手段の話になってしまったような。改めて部門内で時間を設けたい。
  • 「おいしい」を真ん中におくことの難しさを感じた。良いことではあるけど答えのない答え探しを常にするにはある程度の共通の言葉(自分自身が考えてるもの)が必要で、フードハブやチームでというより個人の責任(意思)について考えないといけない気がした。最終的にチームで考えるのが難しかった。

フードハブの「おいしさ」とは…

  • 皆の意見を聞いていて、前の作り手からきちんと受け取りフィードバックすること、自分自身の仕事に向き合いきちんとフィードバックを受け取ることを、責任を持って個々人が続けられることなのかなぁと感じた。「おいしいよねぇ」と共感しあって終わってしまわないようにすることが大切。
  • 「おいしい」って主観的だと思われがちだけど実はフードハブにおける「おいしさ」はある程度「共通の認識」としてそれぞれが持てるのではと思った。野菜を育てている人との関係性、食材と料理人との関係性、地域の方々との関係性。その良好な関係性が私たちがつくりあげるモノゴトに(調味料のひとつとして)含まれることで、フードハブらしい美味しさがにじみ出てくるのでは。

最後に、部門ごとに集まり、それぞれの部門でどんな「おいしい」をつくっていくのかを話し合い、全員で共有した(とてもよかったなぁというおぼろげな印象は残っているが、記録と記憶に残っていなくて写真のみ…)。

そうそう。「おいしい」会議は、合間の休憩も「おいしく」するのがフードハブ流。

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わたしの「おいしい」を深めていく

「おいしい」を考えた全体会議から約一ヶ月。「おいしい」という言葉が使いやすくなった。これまで使いにくかったの?と思われてしまうのも仕方ない。フードハブ内で使う「おいしい」は、料理人(プロ)の決めるそれだけしか当てはまらないと勝手に幅を狭めていた自分に気づいた。自分自身の「おいしい」に蓋をしていたのだ。

わたしの「おいしい」原体験は、子ども時代に拡大家族12人で毎晩テーブルを囲んでいたその食卓にある。滅多に味わえない飲食店の「おいしい」は、自分の日常から離れた別世界なんだろうと思っていてその考えは今も変わらない。だからかま屋やかまパンの「おいしい」は自分と離れたところに置いていたのだきっと。わたしは、農産物を育てるところから食卓の一皿までのプロセスにどれだけ自分がかかわれるかで「おいしさ」は変わってくる気がしている。そんなわたしにとって食育係はぴったりのポジションだ。「白崎茶会」で学んだ経験もかなり大きいし、フードハブで新しい「おいしさ」にたくさん出会えるのは育てる(農業)活動にかかわれることが影響していると思う。「おいしさ」の幅がどんどん広がってきているのはとてもうれしいことだ。

プロの料理人とプロじゃない人、それぞれの「おいしい」が重なる部分も、実はあるような気がしている。

シェフ・イン・レジデンスでデイブが神山に来て最初にメンバーらとテーブルを囲んだ日、その場でデイブにした質問をよく覚えている。

「お店でお客さんのためにつくる(仕事でつくる)料理と、家で家族や友人たちのためにつくる(プライベートでつくる)料理、気持ちに違いはある?」

2018年2月21日

デイブは「いい質問だね」と言って、その時の考えを言葉にしてくれた。「おいしい」ものを食べてもらいたい、という気持ちはどちらもかわらない。家族の場合は「健康」という視点でも考える、というような話だったと思う。帰る前に同じ質問をしたら彼はどう答えたのだろう(聞きそびれたなー)。

最近読んだ三浦哲哉さんの「食べたくなる本」の中には、こんな一文があった。「得体の知れない『おいしい』を求めるのではなく、自分の『おいしい』を深めていくこと。」

そうしたいなーと思う。誰かのいう「おいしい」と、自分の感じる「おいしい」はきっと違う。でも、家族や近い友人たち、日々のごはんを一緒に食べる「同じ釜の飯を食う」仲間たちにはわたしの「おいしい」が伝わる気がする。「おいしい」は、同じ時間を一緒に過ごすことでもあり、住んでいるまちで採れる農産物をいただくことでもあり、自分の手を動かすことでもある。自分にとっての「おいしい」のパーツを少しずつ増やしていくことで、人生も「おいしく」なるのかなぁと思う今日この頃。

次回につづく。

この日誌を書いた人

樋口明日香

食育係
樋口明日香 (ひぐち あすか)

食育係/白崎茶会認定パン先生。徳島市出身。 神奈川県で小学校教員として働いたあと2016年に地元徳島に戻り、フードハブに出会う。保育園から高校までの子どもたちの食と農の取り組みにかかわりながら「みんなでつくる地産地食」を模索中。一番好きな食べものは、みそ汁。

その他の活動

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