ちえちゃんの あんな野菜、こんな野菜
「ミニトマト」(2019年8月号)

ちえちゃんのあんな野菜、こんな野菜つなぐ農園育てる

絵:大東千恵
絵:大東千恵

トマトは、ナス科ナス属の植物で、一つの花に雄しべ(花粉)と雌しべがある雌雄同花の花が咲きます。じゃがいも、ナスと同じグループなんですよ。

この夏は、テントウムシダマシ(テントウムシの星が20個あるよ)という虫が多い。彼らは食育旺盛な草食系。ナス科の葉っぱを食い散らかしています。春先のじゃがいも葉を食べて増殖して、トマトやナスが狙います。有効な手立てはあまりないのですが、栽培する場所をそれぞれ離しておくことと、ジャガイモの発生初期の段階でこまめにやっつけておくと、被害は少なくなるそうです。

南米のアンデス山脈の砂漠地帯が原産なので、日本の高温多湿に、寒すぎる冬はちょっと苦手。今年の長雨もちょっときつい。湿気が大好きな土壌病原菌(カビ)は、降雨による泥ハネで病気をもたらします。トマトは病気には弱い植物なので、支柱にビニールを張って屋根を作ったり、傘をさして守ってあげたり、風通しをよくして乾燥しやすいようにしてあげてくださいね。

真夏には、土が乾燥した状態が続いた後、大雨が降って急激に根が水分を吸い上げると、実が割れてしまうことがあります。急激に水を吸い上げるので、実の肥大するスピードに皮が追い付かず、割れてしまいます。また、強い陽射しから実を守るために皮を硬くする性質があります。皮が硬くなってしまうと、実が肥大する時にうまく伸びることができず、耐え切れなくなって皮が破れてしまうんですね。真夏はお天気を見ながら早めに収穫してあげてください。

40g以下のものが「ミニトマト」と呼ばれます。つなぐ農園では、ミニトマトをソバージュ栽培しています。露地や雨よけハウスなどで、ソバージュ(野性的)に育て、誘引や芽かきをせず極力手を加えず、トマト本来の生育に任せる栽培方法です。草丈50㎝まで葉や脇芽をかぎとって風通しをよくして、それ以降の脇芽を放任して伸ばし続けて、トマトが生い茂るトンネルを作ります。(トマトの木が重たいので、支柱はしっかりと、倒壊注意)たくさんの葉っぱの木陰が、雨でトマトが割れないように、強い日差しでトマトが火傷しないように、ミニトマトを守っています。

デイブのトマトーソースに使われた、肉厚で旨味たっぷりで調理に向いたシシリアンルージュや、甘みの強いロッソナポリタン。皮が厚めで割れも少なく、収穫量が多い品種です。

他にも、甘〜いオレンジ色に、ジューシープルプルなピンク色や紫色、爽やかな色に味わいの緑色。カラフルなミニトマトも栽培しています。畑につまみ食いに来てくださいね!

育てやすく収穫量が多いので、ミニトマトは家庭菜園でも人気ですね。ビニールハウスの加温栽培が普及して一年中食べることができますが、露地栽培なら3月に種まき〜5月に定植〜9月末まで収穫の作型が育てやすいです。

トマトはぐんぐん伸びる脇芽を摘みとって、簡単に増殖させることができます。雨が続く日にはそのまま植えて、晴れの日にはコップの水に挿しておくと、数日で発根します。梅雨に脇芽を挿し木にして増やすと、活着が早いのでオススメです。トマトの脇芽の交換をして、色々な品種を育てても楽しいですね。

トマトの木を触っていると手が真っ黒になるのは、トマトのアクのせい。アクの理由ははっきりしていませんが、害虫を寄せ付けないためではないかと言われています。手を洗うときにレモンの皮で磨くと、アルカリ性のアクレモンの酸が中和して、綺麗に落ちるそうです。

トマトの種類は、世界で8000種類!北米では「エアルームトマト」と呼ばれる、それぞれの家族や集落の中で、何世代も育て続けられているトマトがそのうち5000種類!あるそうです。トマトはその環境に適応していき、暮らしを豊かなものにしているかもしれませんね。日本でも120種類と他の野菜よりも多く、育てる食べる楽しみがたくさんあります。

トマトは環境に左右されやすい。苦手な環境だと病気になりやすいのに、最適な環境だと元気モリモリ!(ちなみに日本では寒さで枯死する一年生植物ですが、熱帯地方では多年生。最適な環境だと開花結実し続け、1本仕立てで1年間の長期栽培を行うと8〜10mまで育つそうです…!)本来はとっても生命力のある植物なので、トマトの種のこぼれ種が翌年芽吹いてくることも。いい環境を整えてあげてくださいね。

8月は露地栽培のミニトマトの最盛期。お料理でワクワク、おやつでパクパク、今の美味しさをたくさん食べてくださいね。

この日誌を書いた人


nakaniwa@foodhub.co.jp ()

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