ちえちゃんの あんな野菜、こんな野菜
「ズッキーニ」(2019年7月号)

ちえちゃんのあんな野菜、こんな野菜つなぐ農園育てる

絵:大東千恵
絵:大東千恵

ズッキーニは、ウリ科かぼちゃ属。きゅうりに似ているけど、きゅうり属(アジア・アフリカに分布)ではなくて、かぼちゃ属(アンデス・アメリカに分布)の仲間です。

コロンブスがメキシコからヨーロッパに持ち帰ったペポかぼちゃの1つが、19世紀にイタリアで選抜・改良されてズッキーニが誕生しました。名前はイタリア語で「小さなかぼちゃ」という意味。南仏料理のラタトゥイユ(夏野菜の煮込み料理)には欠かせないですズッキーニですが、ヨーロッパでは1950年以降に広く使われるようになったそうで、意外と歴史の浅い野菜です。日本ではイタリア料理がブームとなった1980年以降に普及しました。美味しく、育てやすい、近年人気の夏野菜です。 

大きめのズッキーニ

ズッキーニは、開花して4〜5日後の未熟な果実を収穫したものです。一般的に見かける縦長の「棒ズッキーニ」は、20㎝以上になったら収穫適期。デイブは大きめの方が、歯ごたえがザクザクとして美味しい、と言っていました。比較的、黄色の方が皮が薄く実が柔らかく、味にクセが少ないようです。

ズッキーニとルッコラのサラダ  w/ペコリーノチーズ

「丸ズッキーニ」は、中をくりぬいてひき肉などと混ぜて詰めてオーブンで焼きましょう。外はこんがり中はトロトロジューシーな仕上がりです!花が咲いている時期に収穫した「花ズッキーニ」は、花の部分にチーズやひき肉などを詰めた揚げ物に。花がしおれやすいので店頭では見かけません。朝一番に収穫したものをいただく豊かなお料理です。

ズッキーニはお料理にも万能。油と相性が良く、加熱料理はナスと同じように調理すると使いやすいと思います。じっくり炒めたり煮込んだりすると甘みがアップして、味がしみて柔らかくなるとナスのような食感です。生食はきゅうりと同じようにように調理することができます。ピーラーで薄切りにしてサラダに混ぜたり、ピクルスにもできます。スライスして塩もみすると食べやすくなるので、他の食材と和えてもいいですね。

また、かぼちゃに比べて糖類やデンプンが少なく低カロリー。体内の塩分を排出し、高血圧などの生活習慣病に効果的なカリウムは、汗で流れやすいのですが、ズッキーニで補うことができます。免疫力を高めるβカロテンは、オリーブオイルで調理すると吸収力が高まります。疲労回復や夏バテ解消にも効果的なので、積極的に食べてくださいね。 

ズッキーニは温暖で乾燥地を好みます。梅雨時期には根が傷みやすいので、高めの畝にして水はけをよくしてください。また収穫後の切り口から病原菌が入りやすくなります。雨降りの前後に収穫するのは避け、切り口を乾かしてあげましょう。生育が早く、太い茎は好き方向に伸びて地這いしていきます。ズッキーニの実が地面に当たって傷みやすくなるので、支柱を立てて上へ伸ばす立体栽培もすることができます。しかし神山町の強風では、株ごと倒壊しやすかったり葉が実を傷つけたりするので、一長一短。収穫しながら古い葉を落として、株の負担を減らしましょう。

ウリ科の天敵、ウリハムシ。ズッキーニも食害されてしまいます。大量のウリハムシを捕獲するのは大変。ウリハムシは過剰な肥料を吸いに来て(その肥料分から、自身を害虫から実を守る毒素を作っているそうです。ウリハムシも必要があって食べているのですね)、肥料の量が落ち着くといなくなります。それまでにズッキーニを守れるかどうか。肥効性の遅い肥料を使うようにするのも対策です。また、ウリハムシは、ネギの匂いが苦手だそうです。ねぎを近くに植えたり、玉ねぎ・にんにくを収穫した後の切り落とした葉っぱを撒き散らしておくと、完璧防ぐことはできないですが、効果はあるようです。

収穫初期や終盤は変形果のズッキーニができやすいです。実が多いことや雄花が少ないことによる受粉不良が原因です。変形果は腐りやすいので見つけ次第切り落としてくださいね。ズッキーニが受粉終えて雌花が枯れたら、手で落としてあげましょう。雌花が雨でとろけてズッキーニに張り付いたところから傷んでくることもあります。ちょっとした手間が美しいズッキーニを作ります。

葉が大きく茂りワイルドな見た目とは裏腹に苦手なものも多く、すくすく育てやすいのですがダメージに弱い、実を日々大きくするひたむきさがある、そんなかわいいところがあります。毎日気にかけてあげてくださいね。 

毎日ズッキーニと言っていいほど、どんどん収穫できて、お料理にも大活躍。ズッキーニの美味しい季節です。毎日食べ方を変えて、楽しんでくださいね。

この日誌を書いた人


nakaniwa@foodhub.co.jp ()

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