ちえちゃんの あんな野菜、こんな野菜
「玉ねぎ」(2019年6月号)

ちえちゃんのあんな野菜、こんな野菜つなぐ農園育てる

絵:大東千恵
絵:大東千恵

玉ねぎの葉っぱが自然と首元から折れてくると、そろそろ収穫の合図。葉を茂らせて蓄えた養分を、肥大部分の玉に送り続けます。

葉の力が尽きて倒れる頃には、玉には養分たっぷりでいい感じに出来上がっています。(愛情あふれる葉は枯れるまで養分を送り続けてくれるので、すぐに収穫しなくても大丈夫。)肥大する玉の部分は、鱗片(リンペン)と呼ばれ、ウロコ状に重なる厚い葉が重なりあったものです。玉ねぎの玉は、根ではなくて葉っぱ!私たちは葉っぱを食べているんですね。ちなみに、タマネギを縦に切ると下の方にある芯の部分が、茎なんですよ。

見た目の違い

玉ねぎは、見た目の色から3種類に分けられます。
「黄玉ねぎ」は一般的に玉ねぎと言われているもので、薄皮が明るい茶色の玉ねぎです。収穫してから1ヶ月程度乾燥させてから出荷される。貯蔵性が高く、長期保存用です。「赤玉ねぎ」は黄玉ねぎに比べ、辛味や鼻や目にツンとくる刺激臭が少なく甘味がある。炒めると色が悪くなるが、酢漬けにすると鮮やかな色になります。「白玉ねぎ」は皮が薄くて真っ白で扁平な形が多い。甘みが強くサラダ向き。流通量は少ないです。ちなみに、生の玉ねぎはもともと甘く、イチゴと同じくらいの糖分があるそう。炒めるともともとの糖分が凝縮されるため、よりいっそう甘く感じられるのですね。

いずれの玉ねぎも、収穫して1ヶ月以内のみずみずしいものを「新玉ねぎ」と呼びます。収穫してすぐに出荷するため、柔らかくジューシー。辛味が少なく生食できるほど甘みが強い。冷蔵庫で保存しますが、水分が多いので傷みやすく日持ちはしません。初夏だけのお楽しみですね。黄玉ねぎの新玉ねぎは白っぽいですが乾燥すると黄色くなります。一般的な黄玉ねぎは日持ちを良くするため、収穫してから1か月以上乾燥させてから出荷されています。こちらは冷蔵庫では蒸れて傷むので、風通しのよい軒下や冷暗所で保存します。

栽培期間による違い

玉ねぎは、特に早晩性(そうばんせい・作物の開花や収穫に至るまでの栽培期間の長さを基準とした性質のこと)を気にかけて栽培します。極早生(ごくわせ)、早生(わせ)と呼ばれる品種は、種まきから収穫までの生育期間が短く、収穫量は少なめ。早い時期に植えて早どりするもので、生育が早くぐんぐん肥大する早熟タイプ。新玉ねぎのように、その若さやフレッシュさを味わいます。中生(なかて)、晩生(おくて)の品種になるほど、種まきから収穫までの期間が長く、収穫量は多め。遅くに植えて遅くに収穫します。ゆっくりじっくり育つ大器晩成タイプ。黄玉ねぎのように保存性に優れ、味がしっかりとして風味がよいものが多いです。こちらは病気にかかると保存が効かないので、健康に品質良く育てることが大事です。

いい玉ねぎをつくるのは、結構難しい

この性質を組み合わせると、同じ時期にタネをまいても収穫期がずれてくるので、長期間の栽培ができるようになります。また自然災害のリスクも分散でき、作柄の安定につながっています。

8月に種を播き11月まで苗を作ります。この暑い中の、発芽に時間がかかる玉ねぎの水管理になかなか気を使います。玉ねぎは苗半作と言われるほど、苗作りが重要!定植時の理想の苗は「鉛筆くらいの太さ」。この絶妙な基準より苗が大きくなると、トウ立ちしたり分球したりしやすい。これより細い苗だと弱くて越冬ができなかったり、玉も肥大せず減収しやすいです。ほんと、苗で来年の出来が決まる。それぞれの地域の種まきの適期を守ることが大事です。

11月になると、苗を株間15㎝に定植します。ネギ類は、肥料をたくさん入れるので肥料喰いだと言われるのですが、本当は、養分を吸収するのが苦手らしい。(肥料も数打ちゃ当たる、という感じでしょうか)養分をたくさん与えると、葉の付け根部分から病原菌が侵入したり、害虫にやられやすいので、控えめにじわじわと効く遅効性の肥料を使うとよいそうです。葉先数ミリが薄黄色になれば、肥料が切れるサイン。ここでは早く効く肥料を追肥してあげてください。

春の彼岸過ぎて、葉が茂ってきた若い玉ねぎは「葉玉ねぎ」として出荷されることもあります。玉ねぎが少ない時期に重宝されます。葉っぱがきれいで柔らかいので、葉もネギのように使えて、丸ごと食べることができますよ。

葉が倒れてきた5月にようやく収穫。畑の準備から収穫まで1年弱。その中で、苗作りに注意して、病気にならないよう除草して、保存の管理もするので長期戦です。いつもあるし、簡単に栽培できそうですが、思っている以上に時間を気がかかっています。

いい玉ねぎを作るのは、結構難しい。玉ねぎの栽培は奥が深いです!

 

この日誌を書いた人

大東 千恵

八百屋係/農園係
大東 千恵 (おおひがし ちえ)

その他の活動

前へ次へ 閉じる