ちえちゃんの あんな野菜、こんな野菜
「えんどう豆」(2019年5月号)

ちえちゃんのあんな野菜、こんな野菜つなぐ農園育てる

絵:大東千恵
絵:大東千恵

晩春から初夏にかけて、えんどう豆の美味しい季節がやってきました!

元々は雑草でしたが、緑肥として品種改良が進むにつれて、食用とされるようになりました。紀元前のツタンカーメンの墓から出土されたり、遺伝子学のメンデルの法則でも活躍したりと、歴史にのぼる野菜です。日本への伝来は7世紀頃、栽培は江戸時代から。「のら豆」や「園豆」と様々に呼ばれていましたが、原産地域である中央アジアの大宛国、にこじつけて豌豆(宛の豆)と統一されたようです。

(余談ですが、えんどう豆の仲間で、小粒丸型の豆、地中で豆が割れて発芽する豆を“pea” 、そら豆・インゲン豆の仲間で、腎臓型の豆、地上で豆が割れて発芽する豆を“bean” と呼び分けているようです。)

えんどう豆は、成長過程で呼び名が変わっていましたが、近年は用途によって様々な品種が栽培されています。近年は呼び名に応じて特徴に特化した品種が作られています。

柔らかな若いさやを収穫して食べる<さやえんどう>
春一番に出荷が始まる平たい「絹さや」は食感がよく、やさしい色みが春のお料理を上品に彩ります。アメリカ生まれの「スナップエンドウ」は甘みが強く、豆が大きく成長してもさやが柔らかい。豆もサヤも丸ごと生で食べることができるんですよ。

さやの中の実だけを食べる<実えんどう>
若い未熟な実を食べる「グリンピース」の独特の青臭さが、子供の頃は苦手な人が多かったはず。このグリンピースを改良したものが、和歌山県特産の「うすいえんどう」。青臭さが少なく甘みがあり、実が大粒でホクホクとしていて食べやすいですよ。完熟後に乾燥させた「青えんどう豆」を甘く煮詰めたものは、うぐいす豆と呼ばれています。蜜豆や豆大福には「赤えんどう豆」が使われています。

ちなみに「豆苗」は、えんどう豆の発芽したての若葉です。葉にも豆の風味や甘みが感じられて、デイブはスープの隠し味に使っていました。

えんどう豆は、11月に種をまいて冬を越し、半年かけて鈴なりに実をつけます。さやえんどうは開花後2〜3週間後に、実えんどうは4週間後に実をつけます。花から実がつく頃はこまめにお水をあげてくださいね。乾燥すると、花落ちや変形莢ができたり収穫量が落ちてしまいます。収穫適期には、どんどん収穫しましょう!豆をちぎるほど、次々に実をつけてくれます。さやえんどうを収穫しそびれてしまったら、そのまま実を育てて実えんどうにしてしまおう。未熟な青い豆は茹でて冷凍して、完熟の乾燥豆と共に、通年のお料理に活躍してくれます。

えんどう豆は乾燥に弱いです。収穫してから時間が経つほど、パサパサになって青臭く感じられるので、すぐ冷凍するか、数日で食べきりましょう。何といっても、畑でもぎたてを食べるのが最高に美味しい!新鮮なえんどう豆の、やさしい香りにほんのりした甘み、みずみずしさに驚かされます。生食できるえんどう豆のシーズンは短く、年中食べることはできないからこそ、旬の食べ物を味わうよろこびや、季節の恵みをいっそう感じられるかもしれません。お家の畑で育てて、朝にもいでカバンに入れて連れてって、その日のおやつにパクパク食べてもらえたらいいな。と思う野菜です。

この日誌を書いた人


nakaniwa@foodhub.co.jp ()

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