ちえちゃんの あんな野菜、こんな野菜
「キャベツ」(2019年4月号)

ちえちゃんのあんな野菜、こんな野菜つなぐ農園育てる

絵:大東
絵:大東

 春キャベツの出回る頃となりました!秋(9~11月)に種を播き、翌春(3~5月)に収穫です。新キャベツとも呼ばれます。

 キャベツの原産地は地中海の東部沿岸。歴史は古く、古代ギリシャやローマでは葉キャベツを栽培していました。そう、キャベツの祖先はケールです。日本へは江戸時代に観賞用の野菜として伝わり、葉牡丹を意味する「甘藍」という漢字が当てられいます。品種改良が進み、丸いキャベツが広く栽培されるようになったのは12世紀、日本では明治時代とつい最近。戦後に洋食文化と共に一気に普及したそうです。

(英語では「キャベツ」仏語では「シュー」。余談ですが、お菓子のシュークリームはフランス語で「シュー・ア・ラ・クレーム」。直訳するとクリームが詰まったキャベツ。キャベツに見えてくるね)

 秋(9~11月)に種を播き、翌春(3~5月)に収穫です。新キャベツとも呼ばれます。冬に甘みを蓄えながらじわじわ育ち、春先にのびのび育って、ふんわり柔らかく葉が巻きます。明るい春色を生かしてサラダで生食したり、強火でさっと炒めたり。ザクザクした歯ごたえに、ジューシーで甘みがあって美味しい!と感じられるキャベツです。

 キャベツは暑さが苦手。夏場は長野や群馬の冷涼な高原で栽培されるので、高原キャベツ・夏秋キャベツとも呼ばれます。春(3~6月)に種を播き、夏から秋(7~10月)に収穫です。外葉は緑が鮮やかで、みずみずしくて柔らかい春キャベツに似ているが、中身はぎっしり詰まって秋冬キャベツに似ているので、いいとこどり?!キャベツです。

秋冬キャベツ。寒玉キャベツとも呼ばれ、初夏(6~8月)に種を播き、晩秋から冬(11~3月)に収穫です。寒さで傷んだ緑色の外葉をむいて出荷するので、見た目が白く、やや平たい玉です。一般的に「キャベツ」と呼ばれるのは、このタイプ。寒さから身を守るために葉をたくさん重ねてギュギュッと詰まって(キャベツも寒いから着込んでいます)。シャキシャキとした食感に、ずっしりと重量があるので、お好み焼きやコールスローなど、大量調理に大活躍。葉が厚めでしっかりとしているので、ロールキャベツなど煮込みも美味しいです。

 こうして栽培の時期を変え、品種を替え、産地リレーをしながら、ほぼ一年中食べることができます。よく使う万能な野菜だからこそ、たくさん栽培されていますが、天候によっては生産過多になることも。生産調整として、畑にすき込まれているニュースを見たことがあると思います。

 そして歴史あるキャベツは、栽培技術や品種開発が進み、色々な品種ができました。紫キャベツ、芽キャベツ、サボイキャベツ、カーボロネロ…それぞれに育て方や食べ方の違いがあって面白い。季節ごとに味や調理をお楽しみくださいね。

 栽培のおすすめ品種は、ミニキャベツ。キャベツより一回り小ぶりで、お料理にも使い切りやすいです。夏秋キャベツのような仕上がりで、食味が良いものが多いです。生育日数が短いため虫害の心配が減り、株間も狭いため多く育てることができますよ。

しかしキャベツはほんとうに青虫に食べられる!モンシロチョウがうようよ羽ばたく畑になりやすいのですが…防虫ネットでしっかり防げば、農薬を使わずにきれいなキャベツが出来上がります!蝶々は、レタスや春菊の匂いが苦手なので、コンパニオンプランツで対策して、畑をにぎやかにするのも楽しいですね。

 栽培すると、悩まされる「キャベツ巻かない・大きくならない問題」。苗を定植すると、平たい団扇のような葉っぱを大きく広げるように育っていきます。この葉が外葉となり、17〜20枚程になると結球が始まります。この時期に外葉を虫に食害されると、外葉の枚数を補うのに時間がかかり、結球するのが遅れます。また外葉の大きさでキャベツのサイズが決まります。大きい葉だと大きなキャベツ、小さな葉だと小さなキャベツになるんですよ。

 生育が不十分な理由としては、肥料過不足や、タネまきや定植時期の遅れ。そして苗の出来!野菜栽培は苗半作と呼ばれるほど、苗づくりが重要です。水をやりすぎて徒長させないよう、太短いしっかりとした苗を作りたい。若い苗を植えたら早く活着しますが、植え遅れるとイマイチなことが目に浮かびます。生育初期でちゃんと出来上がるかどうかが決まるところが、農業の肝。農薬を使わないよう防虫ネットで守ってあげて、隙間や地面から侵入してくる虫を時々つぶして守ってあげると、種まきから120日前後で収穫となります。キャベツは輸送の際にぶつかったりすると傷んでしまうので、外葉を2〜3枚つけて収穫して、中身を守ってあげましょう。きっちり小まめに守り続けると、きちんと出来上がる野菜です。

 梅雨の頃の話。収穫期に雨が多いと、ぎゅっと詰まったキャベツに水分が含まれて膨張して、すぐにキャベツが割れてしまいます。畑の見学中にそれを見て「野菜って、生育途中なんだ!」と言われたことが印象的でした。葉物野菜は、植物は、花をつけて種をつけて、子孫をつないでいます。お店で売られている玉のキャベツは、キャベツの一生のひと時の姿。収穫した後でも生き続けています。冷蔵庫の冷気で乾燥しないように、濡れ新聞で包んであげてください。生き生きとしたキャベツを、最後まで美味しく食べてもらえたらいいなと思います。

 

この日誌を書いた人

大東 千恵

八百屋係/農園係
大東 千恵 (おおひがし ちえ)

その他の活動

前へ次へ 閉じる