かま屋の店づくり

食べる

 こんにちは!食堂かま屋で日々の料理を担当しています、加地です。私は料理をつくること、食べることが何より大好きですが、こういった文章を書くのは苦手意識があります。ですが、今回せっかくの貴重な機会をいただいたので、かま屋での日々や、変化、感じることをお伝えできればと思います。

 昨年春、支配人の真鍋に神山案内をしてもらい、その翌日にかま屋で働くことを決めた(笑)日から約10ヶ月。本当に毎日が濃く、たくさんの気づきや学びを頂ける職場です。かま屋での私の担当は、食堂の月間メニューや夜のイベントメニュー、食堂の調理や発注など、主に〝つくる〟ことの担当です。ここで働きたいと直感で感じたのは、農家さんと食堂の距離が近く、野菜が新鮮でとてもおいしいかったから。また、食堂というスタイルで老若男女問わず、たくさんの人に食べていただく料理を作れるようになることは、自分のパワーアップにつながると思ったからです。

 想像していたとおり、かま屋での調理はとても大変なものでした。忙しい時期は100人〜150人来るのが当たり前。そしてその調理はほぼ一人でこなさないといけない。取り分けて提供する食堂とはちがい、お客様自身で好きな量をとってもらうというスタイルは、おかずの量が予測できないこともあります。その為の準備や、臨機応変さを常に求められる、やりがいもあり、難しいポジションです。入ったばかりの時、先輩の中野さんに「今日は忙しかったですね」と声をかけると「普通だよ」と帰ってきたことに、少しひるんだ事を覚えています…。前に私がいた和歌山のお店では、最大でも50人分の調理だったため、そこに慣れるだけでもとても時間がかかりました。

 かま屋に来ていただいたことがある方はご存知の方もいるかもしれませんが、かま屋のおかずは日替わりで、主菜・副菜含め同じものはあまり登場しません。これは神山の旬のおいしいお野菜を毎日でも飽きずに食べていただけるようにという思いから。作り手としては、毎日味が変わるということは、毎日、自分の〝おいしい〟も更新していかないといけないので、難しくもあります。さらに大量の調理。11時のお客様と、ラストオーダー前の14時に来られたお客様に同じ味を提供する必要があります。

かま屋のお昼ごはん

 つくりたてがおいしいのではなく、置いていてもおいしくなるもの。そういった工夫やテクニックは細井から学びます。肉の切り方、下処理の仕方、野菜のカットのサイズ、全てに意味があり、年配の方から子供まで、皆においしく食べてもらう為の大切なプロセスなのだと学びました。仕込みの量が多くても、その気持ちは同じです。細かいところまで配慮が行き届き、初めて食べた人皆が”おいしい”と思えるものになるのだと教わりました。

 かま屋の主なチームメンバーは清家、中野、石田、私の4人。それぞれ持っている技術や得意なことが様々なメンバー。接客に関しては清家、石田。料理に関しては中野、加地といった風にそれぞれフォローしあいながら日々かま屋を動かしています。培ってきたものが違うので、当然ながら意見が食い違うことも。お店をより良くしたいという思いからなのですが、中々個性の強いメンバーなので(笑)、折り合いがつかない時は、お客様がどう感じるか?を優先し、話し合いで決めるようにしています。

 そんなかま屋メンバーですが、おいしいものに対するアンテナが深まっているのを感じます。きっかけは1月の半ばに、女木島から料理人・松内さんが神山に来られた時のことでした。松内さんは和食の料理人で、かま屋の味噌汁に使う出汁のとり方を教えていただきました。今までかま屋がとっていた出汁と同じ量、同じ食材なのに、その圧倒的な味のちがいに驚きました。香りやコクも比べものにならない。ただ丁寧にアクをとり、じっくり煮出してやるんだよ。と、松内さんはその穏やかな人柄のまま、自身の技術を余すことなく教えてくださいました。

写真中央:松内さん

 早速、翌日から実践です。日々まかないを食べているメンバーから、味噌汁ってなにか変えたの?常連さんからも、何か秘密があるの?などの反応が!にやりとしてしまいました。作っている私達ですら、素材の味が引き出されたお味噌汁の味に驚いたのです。特別なことをするのではなく、いつもより少しだけ、丁寧に時間をかけてあげるだけで良い。松内さんが言っていたことは一見簡単なようで、日々の仕事のなかで続けていくということは大変な事でもあります。しかし、この時の〝おいしい〟の体験を、かま屋メンバー全員が実感し、気持ちを共有できたことは、お店をより良くしていく上でとても意味のある事だと思いました。これからもおいしい体験を活かし、自分たちで実践して、より良いお店作りをしていけたらと思います。

 かま屋の新しい試みはもう一つ!2月からかま屋のカフェタイムが一新。神山の珈琲焙煎所、豆ちよさんの珈琲をハンドドリップで淹れたホットコーヒーや、かまパン山ちゃんのケーキを楽しめるカフェタイム。店内のレイアウトも少し変え、本を読みながらゆっくり一人の時間を楽しんだり、友人とお茶をしたり。そんな良い午後の時間を過ごしていただけるようなお店づくりにも力を入れていきたいと思っています。

この日誌を書いた人

加地 美咲

かま屋料理人
加地 美咲 (かじ)

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