2017年3月10日(金)
白桃 茂|農業指導責任者 からのごあいさつ
神山町で代々農業を続け、Food Hub Projectの役員でもある、農業指導責任者の白桃茂(しらもも しげ)の2016年3月1日のオープニング式典での挨拶文を掲載します。
私たち、Food Hub Projectの理念は、ここにあります。
初心、忘るべからず。
ここから、みんなで日々、精進して「日常」を育てていきます。
本日は、お忙しい中ご出席いただきありがとうございます。
「出会い」が、いかに大切か。
今、私がこの場にいるのも、支配人の真鍋さんと息子(白桃 薫|神山つなぐ公社所属、フードハブ 農業長)が出会ったことから、1年前、農業者として10日間のサンフランシスコ視察研修に参加したことがきっかけです。
視察中、段取り、車の運転、通訳を1人でつとめて、顔色ひとつ変えないで、皆に気遣いしてくれる真鍋さんを見て、「この人、すごい人だな。この人なら神山を変えてくれるな」と強く思いました。
アメリカでは、女性の社会進出が進み、インスタント食品など食生活により、体などへの問題発生から、無農薬、有機野菜での生産に進み、行政として学校での食育、シェフと農家と消費者と、食べ物が基本として、うまく4者がつながっていたように思います。
今、全国的に過疎が進み、この神山でも、親から子供へとつながりがなくなり、地域の仕組みが崩壊しているように思います。
私も農業をしていて、お年寄りから「子供が都会に出て行って、先祖から守られてきた田畑が荒れ、自分の代で終わってしまうのが、忍びない」との話を聞くことが増えてきましたが、一人の力ではどうすることもできず、心を痛めているところです。
わが屋では先祖代々、地域に合ったもち米・麦を、毎年絶やさず作ってきた事が「それ宝物ですよ」と、当たり前のようにしてきたことが、真鍋さんの一言で、気づかされました。
地域や家庭の中で、なにげなく伝えてきたことが、宝物と気づかせてくれ、つないでくれるのがこのフードハブ・プロジェクトだと思います。
私の親が「昔、米ぬかを使ったお菓子を食べていた」とのなにげない一言から、メンバーがいろいろ試作してくれ「カミヤマメイト」が誕生するきっかけになりました。
今まで、つなげてきたささいないこと、子供に伝えられなかった事を話してみませんか。
農業部門としては、研修生を受け入れ、耕作放棄地が拡大しないよう、農地の維持管理に努めるとともに、学校での食育など、お手伝いして行こうと思います。
フードハブ・プロジェクトは短い準備期間での立ち上げとなりましたが、5年後に、今していることをしても遅すぎると思います。
今しかないと思います。
皆さん、メンバーの目の色が違うのがわかりますか。
今までの会社を辞め、家族で移住し、この神山でやって行こうとの強い気持ちがあり、私自身このメンバーで、この空気の中にいることを、うれしく思います。
これからいろいろ壁に当たることもあると思いますが、町民の皆様のご協力がなければ、このプロジェクトを進めることができませんので、何卒、ご協力の程よろしくお願い申しあげます。
フードハブ・プロジェクト 農業指導責任者 白桃 茂