神山分校生活科3年生、阿川の「梅の収穫」を体験しました!

つなぐ授業レポート食育

食育係の樋口です。今年度より、城西高等学校神山分校で非常勤講師(農業)をしています。

「育てて作って食べる」を生徒たちと一緒に体験できないか、と担当教諭の細川先生と相談しながら、神山町で採れる農産物を知ったり、作り手さんに教わったり、町内の農家さんに体験させてもらったり、地域のご協力を得ながら進めているところです。

今回は、梅の収穫体験の様子をレポートします。

神山町は、梅の産地。

神山町の阿川地区は四国最大規模を誇る梅林があり、毎年2月下旬から3月中旬には16,000本の梅の花が咲き乱れ、「梅の里 梅まつり」が開催される梅の産地です。

阿川地区。見渡す限り梅畑が広がっています。

かつては「青いダイヤ」と称されたほどの神山の青梅。

現在は梅農家さんや作り手さんらが地域で梅しごとの講習会を開いたり、里山みらいが東京でワークショップを開いたり、より多くの人に知ってもらおう、届けようという活動も盛んです。

今回、お世話になった森さんも、生徒たちが伺う前の週に、地域の公民館で「梅干し・シロップの作り方」の実演講習を開かれたところでした(参加したかったな…残念)。

現在はお二人で広い梅畑の梅を収穫して出荷したり、梅干しやシロップに加工したり、特にこの時期はとても忙しくされているとのこと。そのお忙しいさなか、生徒たちの収穫体験にご協力いただきました。

森さんご夫婦。

梅干しのおいしさ。

神山分校生活科3年生の生徒は9名。「家で梅干しを漬ける」という経験のある生徒もいましたが「梅の収穫」は全員初めてでした。

伺ったのが6月22日でしたが、すでに多くの梅を収穫し出荷されたあと。「漬け梅(梅干しにする梅)」が残っていました。

(都会で)店頭に並ぶ梅は、消費者の手元にわたる時にちょうどいい色になるよう、実が青い時期に収穫して出荷をする。

神山町内の人たちは、木に実っている実が熟すまで待ってから収穫できるので、おいしい梅干しが作れる、と森さん。

トマトもいちごも家で食べるんは赤くなるん待って食べると思うんよ。やけど出荷する人は薄うに(薄く)色がついた時点で出荷しようと思うんよ。それのおいしさの違い。

梅干しもおんなじ、梅干しも木で熟してから採るんが最適で。下手くそに漬けても「おいしい」ってなるんは、梅がそれなりの味をもっとるけん。

青いのは酸っぱいけど、今赤く熟れたやつは甘酸っぱい。それの違い、「梅干しおいしい」っていうんは。…まぁ今の若い人は「梅干しおいしい」って…言わんかわからんけど。笑。

今日(梅を)採ったら塩漬けして一ヶ月くらい置いといてから夏場になって「土用干し」っていうて干してから、赤い紫蘇と一緒に漬け込む。早かったら10月、11月頃には食べられる。その梅は、酸っぱい。人それぞれ好みがあるけんなぁ、酸っぱいんがいい人もおるし。2、3年経っとる方が一般的にはおいしいに食べれる。

収穫

いい香りです。

高いところでは森さんにお借りした「前掛け」が大活躍。

この日収穫したのは、白花鶯宿(しろばなおうしゅく・白い花が咲く)、林州(りんしゅう・赤い花が咲く)の2種類でした。

梅干しづくりの見学

赤紫蘇を塩揉みしている様子です。1回目は黒っぽい灰汁が出るので、2回目に絞った汁を使うそうです。

とても鮮やかな色。自然と出る美しい色にハッとさせられます。

着色料を使わず自然の色だけで染める梅干しは、色味も年々黒っぽく変化していくそう。一方で着色料を使った梅干しは、何年経っても色の変化がないそう。

「この色、口紅にしたい〜」

と言った生徒に

「つけてあげようか」ときみこさん。笑。

赤紫蘇はまとめてこの樽の中にためておき、必要な量をここから出していくのだそう。

最近塩漬けした梅を見せてもらいました。

梅酢が上がってきている小梅。

漬かっていた小梅をお味見させてもらいました。

生徒たちの感想

  • 高い所に付いている梅を取るのは大変でしたが…楽しかったです。ご自宅で見せていただいた梅は、真っ赤に染まっていてきれいでした。香りもいいにおいがしました。ただ、私は梅干しは嫌いなので食べられなかったのが残念でした。
  • 梅の香りがとてもいい香りでした。梅干しの作り方は知らなかったので勉強になりました。梅干しとても美味しかったです。白ごはんが欲しくなりました。
  • しそにつけている時は見たことあるけど、干す前の大量の塩につけている所を見たのは初めて。あの黄色っぽいのが赤色にきれいにそまるんやなぁって思いました。
  • 最初に思っていたより、とても大変で、難しい作業でした。大学を卒業できたら、神山で農業をしたいと思っていたので、それもあってか「果樹だけでなく自然、植物に対して働く、仕事をすることの大変さ」を知りました。
  • 梅干しを作る前にいろんなことをしたりして梅をとったり梅をつける前には赤じそをもんだりして大変だなって思いました。小梅を食べてとても美味しかったです。
  • 初めて梅をとりました。梅干しを作るのは家で手伝ったことがあります。森さんが作った梅干しとてもおいしかったです。
  • 黄色くなった梅は甘い香りがしてちょっと桃っぽいなと思いました。枝にはトゲがなくて、収穫しやすいと感じました。しそ漬けの梅がとてもおいしく、普段食べない私でも毎日食べたいと思いました。
  • 梅干しは食べなかったですが香りでおいしそうと感じました。しそをつけるのは知らなかったのでびっくりしました。梅つけるのは塩だけかと思ったのでまた梅干しを食べる機会があるなら、たまには食べてみたいです。

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神山分校から阿川までは車で20分くらいかかります。

学校から阿川に向かう道中の風景。

生徒たちは「すだちの収穫」との違いを感じたり、阿川地区の特徴を知ったり、梅干しの作り方を学んだり、いつもいる場所からちょっと離れた「神山町」のことも知れたのではないかと思います。

来年は生徒たちの手で「梅干し・梅シロップづくり」にも挑戦できるといいなー。

つづく。

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この日誌を書いた人

樋口明日香

NPO法人まちの食農教育
樋口明日香 (ひぐち あすか)

前フードハブ 食育係。徳島市出身。神奈川県で小学校教員として働いたあと2016年からフードハブに参画。2022年3月より現職。まちの小・中学校、高校、高専の食と農の取り組みにかかわりながら「みんなでつくる学校食」を模索中。 https://shokuno-edu.org/

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