2017年度 神領小学校1年生の「冬野菜づくり」後編

つなぐ授業レポート食育

神領小学校1年生と1月に蒔いた野菜の種は、寒い中成長を続け、ようやく食べられるくらいになりました(わーい)!

今回は、1年生みんなで「収穫」して、さらにそれを「調理」するという、ワクワクドキドキの活動を計画しました。

前回の種まきの活動日誌はこちらからお読みいただけます。

これは、種を蒔いてから外に出しておいた鉢。

そして、ハウスの中の野菜たち。

言葉で説明しようと思えばいくらでもできるけれど、やっぱり目で見てわかる、やってみてわかる、って大事。

本来であれば途中で「間引き」するのが筋ですが…子どもたちが自分で蒔いた「種」のあとをちゃんと残そう、と(農業長と)話し、そのままわっさわっさの状態で収穫することになりました。

さぁ、収穫だよ!

ビニールハウス内の野菜の成長をみた子どもたちの反応も様々でした。

「さすがプロやなぁー」←笑

「こんな小さいの、初めて採る」←家で野菜を作っている子のコメント。

「葉っぱがぎゅうぎゅうすぎて、どこから収穫していいのかわからない。​」←大人も同じく。

ごちゃ混ぜになっていた野菜たちは、種類ごとにコンテナに分類することにしました。

さぁ、1年生たち、野菜の区別がつけられるかな。

ラディッシュは見分けがつきやすくて、集まりやすかったです。

収穫した野菜のうち、ビニール袋に入る分は持ち帰りました。家の人にも野菜の名前、教えられる…かな。

レタスは1個ずつ収穫しました!

収穫はこれにて終了。次は学校に戻って野菜の調理実習です。

1年生には少し高い調理台とガス台が並ぶ家庭科室。エプロンとマスクを身につけた1年生が足取り軽くやってきました。

子どもたちと担任の先生が相談した結果、今回は、スープとサラダを作ることになりました(ドキドキ)。

野菜で作ろう ①選ぶ

自分たちが使いたい野菜をコンテナの中から選びます。

「これが使いたい!」と決めてくる子、友だちと相談しながら決めている子、友だちに委ねる子、「選ぶ」だけでもいろんなパターンがあります。

何より、1時間前に収穫してきた野菜たちは、新鮮そのもの。

野菜で作ろう ②洗う

みんなで野菜を丁寧に洗います。

野菜で作ろう ③ちぎる(切る)

洗った野菜は、食べやすい大きさにちぎります。

「これも食べる?」「どれくらいの大きさ?」

「食べやすい大きさ」って、どれくらいの大きさなんだろう?

「包丁が使いたい」という子どもたちがいたので、使うことにしました。

一人が使い始めると、それをみた子どもたちも使いたくなる気持ち…わかる。

ドキドキしながらの挑戦。先生と一緒に。

食べやすい大きさにカットした野菜たちは、火を通したり味付けしたりしていきます。

野菜で作ろう ④味付け

下準備ができたので、塩麹と「神山の味のもと」で味付けをします。

左:濱醤油醸造場の濱さんの塩麹。
右:シェフ・イン・レジデンスで滞在中のまりさんが作った自然派旨味調味料「神山の味のもと」

サラダチーム

サラダのドレッシングには「すだち酢」も使いました。そーーーーっと(真剣!)。

葉野菜とドレッシングを和えます。

お味見。

いい感じになるまで微調整して、完成です。

スープチーム

ラディッシュの色がお湯に溶け出してきた場面。

こんなふうになるんだ〜!

沸騰したお湯に野菜を入れ、塩麹と「神山の味のもと」で味付けをします。

器によそって、完成。

みんな、上手にできました。

みんなで「いただきます!」

パクパク。

パクパク。

パクパク。

パクパク。

お父さんと一緒に「いただきます」ができてとても嬉しかった様子。

スープは特に好評でした。4回お代わりした子どもがいたことと、いつもはそんなに野菜を食べない子どもがパクパク食べていたのを見て、先生たちもびっくりされていました。

まさに、食べ物と子どもたちが仲良くなった瞬間。

そういう場面をみられて、とってもうれしい。

校長先生もかけつけてくださいました。

校長先生の到着を待っていた子どもたち。

一緒に「いただきます」ができて、よかったです。

片付け

「ごちそうさまでした」のあとは、片付け。

洗い物も、片付けも、みんなでやります。

テキパキ。

食器洗い、シンクの掃除、台拭き、整頓、​最後まで本当によく動く子どもたち。「自分でやる!」という感じで最後まで一人ひとりが目の前のことをやっていた姿がとても印象に残りました(感心)。

1年生と種まきから収穫、調理実習までの流れを一緒に体験することができました。冬だったこともありビニールハウス内での栽培になり、「気温」の差で野菜の成長の歩幅が違うことが知れて、ビニールハウスのありがたさを実感しました。これは、5年生あたりで社会の教科書に出てくる「早く育てるために(収穫時期をずらすために)ビニールハウスで育てる」という文字を読む学習とは全く違う「実感を伴う体験活動」です。最近、目にする文字はなかなか頭に入ってこなくて覚えが鈍い私でも、子どもたちと一緒に体験して新しく知ったことは忘れません(たぶん…)。

また、この1年生の活動で一番うれしかったのは「野菜と仲良くなった子ども」がいたこと。普段の様子は全くわかりませんが、周りにいる子どもたちや先生方の様子から、野菜と仲良くなるきっかけが今回の「収穫」や「調理」だったことは間違いないようです。ちょうどその場面に居合わせることができて、ほんとうにそんなことがあるんだ!と心底驚いているのも事実。

「食育」って、なんだろう。

そんなことをいつも考えています。

今のところは「食」べものとの関係性を「育(はぐく)」んでいく活動=「食育」だと思っています。

今回は、まさに目の前にいる「子ども」と「食べもの」との「関係性」がかわった瞬間に出会えたことが、わたし自身にとって大きなプレゼントのような、うれしい出来事でした。

こんな機会に恵まれたこと、ほんとうに感謝です。

地産地食。

地域の農業を次の世代につなぐために「地域で育てて、地域で食べる」という意識を広めていくことが私たちの食育(つなぐ)活動です。

一緒に種から育てて、調理して食べる。その種を次に受け継いでいく。地域の農家さんや作り手、学校と協力し、大人も子どもも、地域も学校も一緒に「循環」を軸にした食育に日常的に取り組んでいきます。

この日誌を書いた人

樋口明日香

NPO法人まちの食農教育
樋口明日香 (ひぐち あすか)

前フードハブ 食育係。徳島市出身。神奈川県で小学校教員として働いたあと2016年からフードハブに参画。2022年3月より現職。まちの小・中学校、高校、高専の食と農の取り組みにかかわりながら「みんなでつくる学校食」を模索中。 https://shokuno-edu.org/

その他の活動

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