神領小学校2年生 「ミニトマトを育てよう」①肥料づくり

つなぐ授業レポート食育

2018年度の「食育」授業、始まりました。スタートは2年生のミニトマトづくりからです。

2年生の子どもたちは、つい1ヶ月半前に「冬野菜づくり」を一緒に楽しんだ元1年生(!)の子どもたちです(「冬野菜づくり」→前編後編)。まだ記憶に新しい子どもたちと今度は新しい学年でかかわれること、とてもうれしく思います。

担任の先生と相談し、今年度は「ミニトマト」に限定して栽培する、という活動を計画しました。野菜を植える前にまずは「土づくり」・・・ですが、今年度はその前の「肥料づくり」から行うことにしました。肥料は5年生が育てているもち米の「米ぬか」「籾殻」を使って微生物の力で発酵させるもの。わたしも初めての体験ですが、ワクワクしかありません。

肥料のお話。

肥料にも色々な種類がありますが、ここで作る肥料は「EMボカシ」肥料。5年生が育てているもち米の「米ぬか」「籾殻」の他、油かすやEM菌を入れて混ぜ合わせ、嫌気発酵させます(一部は好気発酵させました)。そういう一連の流れを話しながら、同時に2年生にもわかる言葉で「発酵」について話しました。

2年生の子どもたちが黒板に描いてくれた「ミニトマト」がとてもかわいい。

「みんなの手でつくろう!」とは、つまり、みんなの手で作ると、みんなの常在菌も混ざり合った肥料になるよ!ということ。目指すは「ふかふか」の肥料です。

「ふかふか肥料」づくり

肥料づくりの手順

手順はシンプル。混ぜて発酵させるだけです。材料や使う用具は、今回も農業チームが朝早くから準備を進めてくれました。

EM菌を籾殻にかけてまぶしているところ。「うどんの出汁みたいー」とか。

「おぉぉぉぉ〜」

まずは大人が楽しむ!(農園係:渡辺)

続いて2年生のみんなでやってみました。

すべての材料をビニールシートの上に広げて。

混ぜ混ぜ混ぜ〜。

「気持ちいぃ〜」「食パンの匂いがする〜」「ふわふわ〜」

口々に感触を確かめ、声に出す子どもたち。

まるで、公園の砂場にいるかのよう。

「ちょうどいい固さは、これくらいね」

どんな匂いがするかな?

よーく混ざったら、これを袋に入れて発酵させます。

「発酵菌、よろしく頼むよ〜」

子どもたちの記録①活動の振り返り

子どもたちの言葉や絵、大好きです。担任の先生の了承を得たので、いくつか紹介させてもらいますね。

子どもたちの記録②肥料のにおい

好気発酵させていた肥料は袋に入れず、たらいに入れて子どもたちの手で何度か混ぜてもらっていました。その時々に肥料の匂いを子どもたちの言葉で記録してくれていたのがおもしろかったので、紹介させてもらいます。

4月16日

「バナナマフィンのにおい」っていうのは、前で子どもたちに話した言葉でした。子どもたちにもその言葉が印象に残っていたようです。

4月24日

腐ったすだち、味噌漬け、なまむぎ…様々な香りが漂っていた模様(うっっ。。)。

5月1日

最終的には「納豆」の匂いを感じた子どもたちが多かったのですが、印象としては、ちょっと嫌な匂いだったのかな…笑。「腐った匂い」っていう言葉が目立つので腐敗を疑ってしまいますが、ちゃんと発酵して「ふかふか肥料」が完成していました!

「菌」は本来目に見えないもの。それが発酵過程を経ると「変化(=菌のはたらき)」が目に見えるようになる。面白い。

かたまりの部分は「発酵」のあとが目で確認できました。

今回は、みんなが観察しながら好気発酵させた肥料を使います。

嫌気発酵させた方の肥料は、次回以降、ミニトマトの成長過程で必要であれば補給する感じで使うそうです。

こちらが嫌気発酵させていた方の肥料。

さて、ここから肥料を土に混ぜ、苗を植えましたが、長くなるので続きは  「ミニトマトを育てよう」②  でお伝えすることにします。


わたしたちフードハブが小学校の授業に入らせてもらうのは1回の活動でほんの1〜2時間です。本来、1〜2時間の活動だけではただの「体験」や「イベント」で終わってしまうこともたくさんあると思います。

これらの活動がただ単発の「体験」とか「イベント」ではなく「食育」になっていると思えるのは、神領小学校の先生方が、子どもたちとわたしたちの活動をつないでくれているからです。

わたしたちは「農」と「食」という文脈から子どもたちにアプローチし、先生方は毎日の子どもたちの学校生活や教科の学習と「農」や「食」をつないでくれる。いや、こんなこと言っておこがましいですが…私たちがいない場面での先生方の子どもたちへのかかわりも、毎回とても勉強になるのです。

先生方のご協力に、毎度感謝しています。

また、その授業スタイルが可能になるのは、毎回、子どもたちのために準備万端に整えてくれる農業チームがいるからこそ。

みんなの力を借りて、進めている食育の取り組み。大学生ボランティアの少しずつエントリーが届いています。仲間が増えること、広がること、とても楽しみです。

地産地食。

地域の農業を次の世代につなぐために「地域で育てて、地域で食べる」という意識を広めていくことが私たちの食育(つなぐ)活動です。

一緒に種から育てて、調理して食べる。その種を次に受け継いでいく。地域の農家さんや作り手、学校と協力し、大人も子どもも、地域も学校も一緒に「循環」を軸にした食育に日常的に取り組んでいきます。

大学生ボランティアスタッフ募集しています!

このような食育活動をお手伝いいただける大学生を募集しています。一緒にその場で見てみたい、子どもたちとかかわりたい、まかないが食べたい…などなど動機はなんでもOK。興味を持ったかたは下記サイトのお申し込みフォームに入力してお送りください。一緒に楽しく、おいしく、活動しましょう!

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この日誌を書いた人

樋口明日香

NPO法人まちの食農教育
樋口明日香 (ひぐち あすか)

前フードハブ 食育係。徳島市出身。神奈川県で小学校教員として働いたあと2016年からフードハブに参画。2022年3月より現職。まちの小・中学校、高校、高専の食と農の取り組みにかかわりながら「みんなでつくる学校食」を模索中。 https://shokuno-edu.org/

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